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ぼちぼちと日常へ

ぼちぼちと日常へ_c0010791_22221443.jpg キンモクセイの甘い香りが漂う、気持ちいい季節になりましたね。
先日、足かけ2週間ほど滞在した北海道から戻ってまいりました。気がつくと今年6度目の帰省となっておりました。
 この3ヶ月は本当に嵐のような日々でした。
 7月はじめに、母が急に体調不良を訴えて入院し、検査の結果は末期の胆嚢癌宣告。
そこから数週間ごとに、見舞いに戻り、一時は小康状態で退院したものの、2週間で再入院し、その後は駆け抜けるようにバタバタと症状が悪化し、10月2日に他界してしまいました。本当にあっという間でした。


ぼちぼちと日常へ_c0010791_2225759.jpg 末期癌を知らされた時は本当に目の前が真っ暗でした。悲嘆に暮れた中で手に取った
エリザベス・キューブラー・ロスの著作の中に「死の間際にある人の声を良く聞きなさい。彼らはあなたが知るべき事を全て教えてくれる。」という言葉に心を動かされ、とにかく母の言葉や様子に耳を傾けることに専心しました。彼女がどんな気持ちでいるか、何を感じているか、そして死が、どんな風に近づいてくるか、できるだけ畏れずに受け止めようと思いました。
 母はキリスト教の信仰を強く持った人だったので、表面的には死への悲嘆や不満、恐怖を一言も口にすることはありませんでした。告知も進んで受け、「自然の流れるまま死にたいから、延命治療は受けたくない」と医者に言っておりました。(といっても手術、抗ガン剤等の治療はすでに無理な状態でした。)それでも、表情の端々には時折不安がありありと見てとれることがありました。


 人の人生は一冊の長編小説みたいなものだと思いました。
 最後まで読んでみて始めて分かることがあるんだなと。最後の一ページで突然見えなかったことが見えてくる、知らなかったことに気がつく。バラバラだったエピソードが有機的に繋がってゆく。今まで母の人生や生き様について表面的にしか判断していなかった私は、最後のページを読んで、ひとこと「私ってバカだな」と思うばかりです。

 色々後悔はありますが、看取りの瞬間には立ち会えなかったものの、最期の日々を共に過ごしたことは私にとって深い学びになりました。しかし振り返っても夢の中のような、長い旅をしていたような、まだまだ実感が湧かずにいます。しばらくは気持ちが不安定な日々が続きそうですが、少しづつ日常生活に戻っていこうと思います。
 

(写真1:長年愛用していた母の裁縫箱。よく整理されていて驚きました。
写真2:実家を行き来していた7月から10月、北海道は本当にいい季候でした。)
by umiyuri21 | 2009-10-11 22:27 | 日々の暮らし


瞑想やヨガ、インド占星術、創作活動、日々の暮らしや旅など、色々綴っております。基本的に長文です。


by Yuriko

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