インディアン・ヨガライフ 第2ラウンド〜Vol.7
インディアン・ヨガライフ 第1ラウンドはこちらから
第2ラウンドのVol.1はこちらから
「アーサナ虎の穴!」
特に今回うんざりするほど繰り返されたのは「パスチモッターナーサナ」と呼ばれるいわゆる前屈のポーズである。どのヨガ教室でも必ず教える基本中の基本ポーズ。足をまっすぐ揃えて前に伸ばし足首は直角、背中を真っ直ぐに立て、腕を上方にぐっと伸ばし、そのまま前へ倒れていく。一見単純なポーズだけれど、ハタ・ヨーガの聖典「ハタ・ヨーガ・プラディピカー」には「これはすべてのアーサナの中でもっともすぐれたアーサナであり...シュスムナー管を通る息の流れを整え、消化の火を刺激し、腰の贅肉を取り、人間のすべての病を取り除く」とある。師匠によれば、「このアーサナは血液を綺麗にし、長時間これを保てるようになったヨギはサンダル・ウッドの香りがするようになる。」とのことだ。
さて、このアーサナ、何がそんなに難しいのか。腕を真っ直ぐに上げ、指先から腰までを一直線にしたまま、折りたたみナイフのように前へと倒れていくポーズなのであるが...ちょっと試しにやってみてください。何気なく前に倒れようとすると、まずは頭を膝にくっつけることに意識が働き、背中が真ん中で曲がってしまう。背中をまっすぐな状態で前に倒す為には、腰の関節を使う。上体を前に伸ばしながらぱたっと根本から身体を倒すようにすると、一番最初に足に触れるのは頭ではなくておへそである。次に、肩の関節が柔軟で安定していないと、腕も伸ばせず、胸をしっかり張ることができず、戻るときに背中が丸くなる。首にはテンションを作らず柔らかくリラックスしておく。
足首を直角に保ったまま前屈しようとすると、ももの裏側が強烈に引っ張っられる。そのまま身体を前に倒そうとするとビキビキと刺激が走る。同時に腕はまっすぐに伸ばし、指先まで一直線にする。肩の筋肉も引き伸ばされ肩こり持ちの私にはめっぽう辛い。つい力んで首に余計なテンションもかけてしまう。シンプルなポーズだが、かかとから背中、腕から指先まで、身体の後ろ側全体をストレッチしていく。
実を言えば、このポーズは得意なつもりでいたのだ、昔から難なく膝に顔をつけることが出来たからだ。基本のポーズだけに、それまでも他のヨガ教室で教わってきたが、誰にも、一言もダメ出しされたことはなかったのだ。
去年も何度も繰り返し教わり、最後の方には何も言われなくなっていたから、そこそこ完成したのだと思っていた。しかし、ジョシーから言わせれば「準備ができてないから教えなかった」だけらしい。今回は何度やっても、背中を倒す時に背骨が出てる!とダメ出しをくらう。出来ると思っているだけに、つい先に、顔を膝にくっつけようとしてしまうらしい。
「腰の関節を使いなさい、お腹を出して背骨は引っ込める。」
「おしりは締めて、会陰をぎゅっと床に押し付けるようにして倒れる。」
「腕は指先までまっすぐ、指先に神経を集中させろ」
「足首はきちんと直角」
「首を曲げるな、顔を足につけるのは最後」
「最後まで集中力を失うな、戻るときに背中が曲がった」
「今息を止めた」
「息が乱れてる」
腰に意識を集中させると、指先は忘れ、背中に意識を集中させると、また別な部分は忘れている。しまいには息をするのを忘れてる。来る日も来る日もそれが繰り返される。
「あなたはこのアーサナが100%分かってない、だからいつも身体が探している。」
「新しい体の情報を叩き込みなさい、身体が一度それを正しいと感じたら、2度と間違ったことはしなくなる」
本当にその通りだと思う。一度その感覚が飲み込めれば、ものすごくシンプルなことなのだが、身体が腑に落ちてくれるまで、何度も何度もさまよってしまうのだ。
「身体の悪い癖を直さないままアーサナをやっても上手にはならない。中途半端に出来るようになってから、悪い癖を直そうとしても、また最初からやり直しになってしまう。」
と、レッスン中は相変わらず手厳しいジョシー先生であった。
とにかく腕をしっかり伸ばしてちょっと前方に倒れて保つだけで、凝り固まった肩が苦しくて汗がだらだら流れてくる。まじでキツイ。汗が出るということは、身体が熱くなっているということで、それは身体の何処かに変なテンションがあるということである。汗を拭きながら苦労していると「何故汗をかく?」とさらなるツッコミ。 (だってケーララなんだから暑いんだよ!)
アーサナは「ゆったり楽」であり「身体、心、呼吸」をひとつにすることが基本である。息が乱れたり、汗をかいて必死に保つポーズはアーサナではないという訳だ。
ポーズがきちんと出来るようになっても終わりではない。今度は安定させた状態でできるだけ長く保つか、が次の段階。
「私が元気な頃はこれを2時間、3時間やっても平気だったよ。」などど師匠は言う。マジですか....確か彼の古くからのお弟子さんも1時間半やったって言ってたっけなあ。一体そんなこといつになったら出来るんだろう。先が長すぎる。
心のなかでため息をつくと。それを察したかのように「あなたはまだ一つも本当のアーサナになってない」と言われる始末。がっかりしていると「はは、だからヨガは簡単じゃないんだよ。でも、普通のクラスでこんな風に教えたら誰も生徒が来なくなっちゃうだろ。それじゃあ困るから先生はトリックを使うのさ。」
うん、確かに来る日も来る日もパスチモッターナアーサナじゃあ、さすがに生徒は来ないと思う。
私もいい加減飽きてきた...。
第2ラウンドのVol.1はこちらから
「アーサナ虎の穴!」
特に今回うんざりするほど繰り返されたのは「パスチモッターナーサナ」と呼ばれるいわゆる前屈のポーズである。どのヨガ教室でも必ず教える基本中の基本ポーズ。足をまっすぐ揃えて前に伸ばし足首は直角、背中を真っ直ぐに立て、腕を上方にぐっと伸ばし、そのまま前へ倒れていく。一見単純なポーズだけれど、ハタ・ヨーガの聖典「ハタ・ヨーガ・プラディピカー」には「これはすべてのアーサナの中でもっともすぐれたアーサナであり...シュスムナー管を通る息の流れを整え、消化の火を刺激し、腰の贅肉を取り、人間のすべての病を取り除く」とある。師匠によれば、「このアーサナは血液を綺麗にし、長時間これを保てるようになったヨギはサンダル・ウッドの香りがするようになる。」とのことだ。
さて、このアーサナ、何がそんなに難しいのか。腕を真っ直ぐに上げ、指先から腰までを一直線にしたまま、折りたたみナイフのように前へと倒れていくポーズなのであるが...ちょっと試しにやってみてください。何気なく前に倒れようとすると、まずは頭を膝にくっつけることに意識が働き、背中が真ん中で曲がってしまう。背中をまっすぐな状態で前に倒す為には、腰の関節を使う。上体を前に伸ばしながらぱたっと根本から身体を倒すようにすると、一番最初に足に触れるのは頭ではなくておへそである。次に、肩の関節が柔軟で安定していないと、腕も伸ばせず、胸をしっかり張ることができず、戻るときに背中が丸くなる。首にはテンションを作らず柔らかくリラックスしておく。
足首を直角に保ったまま前屈しようとすると、ももの裏側が強烈に引っ張っられる。そのまま身体を前に倒そうとするとビキビキと刺激が走る。同時に腕はまっすぐに伸ばし、指先まで一直線にする。肩の筋肉も引き伸ばされ肩こり持ちの私にはめっぽう辛い。つい力んで首に余計なテンションもかけてしまう。シンプルなポーズだが、かかとから背中、腕から指先まで、身体の後ろ側全体をストレッチしていく。
実を言えば、このポーズは得意なつもりでいたのだ、昔から難なく膝に顔をつけることが出来たからだ。基本のポーズだけに、それまでも他のヨガ教室で教わってきたが、誰にも、一言もダメ出しされたことはなかったのだ。
去年も何度も繰り返し教わり、最後の方には何も言われなくなっていたから、そこそこ完成したのだと思っていた。しかし、ジョシーから言わせれば「準備ができてないから教えなかった」だけらしい。今回は何度やっても、背中を倒す時に背骨が出てる!とダメ出しをくらう。出来ると思っているだけに、つい先に、顔を膝にくっつけようとしてしまうらしい。
「腰の関節を使いなさい、お腹を出して背骨は引っ込める。」
「おしりは締めて、会陰をぎゅっと床に押し付けるようにして倒れる。」
「腕は指先までまっすぐ、指先に神経を集中させろ」
「足首はきちんと直角」
「首を曲げるな、顔を足につけるのは最後」
「最後まで集中力を失うな、戻るときに背中が曲がった」
「今息を止めた」
「息が乱れてる」
腰に意識を集中させると、指先は忘れ、背中に意識を集中させると、また別な部分は忘れている。しまいには息をするのを忘れてる。来る日も来る日もそれが繰り返される。
「あなたはこのアーサナが100%分かってない、だからいつも身体が探している。」
「新しい体の情報を叩き込みなさい、身体が一度それを正しいと感じたら、2度と間違ったことはしなくなる」
本当にその通りだと思う。一度その感覚が飲み込めれば、ものすごくシンプルなことなのだが、身体が腑に落ちてくれるまで、何度も何度もさまよってしまうのだ。
「身体の悪い癖を直さないままアーサナをやっても上手にはならない。中途半端に出来るようになってから、悪い癖を直そうとしても、また最初からやり直しになってしまう。」
と、レッスン中は相変わらず手厳しいジョシー先生であった。
とにかく腕をしっかり伸ばしてちょっと前方に倒れて保つだけで、凝り固まった肩が苦しくて汗がだらだら流れてくる。まじでキツイ。汗が出るということは、身体が熱くなっているということで、それは身体の何処かに変なテンションがあるということである。汗を拭きながら苦労していると「何故汗をかく?」とさらなるツッコミ。 (だってケーララなんだから暑いんだよ!)
アーサナは「ゆったり楽」であり「身体、心、呼吸」をひとつにすることが基本である。息が乱れたり、汗をかいて必死に保つポーズはアーサナではないという訳だ。
ポーズがきちんと出来るようになっても終わりではない。今度は安定させた状態でできるだけ長く保つか、が次の段階。
「私が元気な頃はこれを2時間、3時間やっても平気だったよ。」などど師匠は言う。マジですか....確か彼の古くからのお弟子さんも1時間半やったって言ってたっけなあ。一体そんなこといつになったら出来るんだろう。先が長すぎる。
心のなかでため息をつくと。それを察したかのように「あなたはまだ一つも本当のアーサナになってない」と言われる始末。がっかりしていると「はは、だからヨガは簡単じゃないんだよ。でも、普通のクラスでこんな風に教えたら誰も生徒が来なくなっちゃうだろ。それじゃあ困るから先生はトリックを使うのさ。」
うん、確かに来る日も来る日もパスチモッターナアーサナじゃあ、さすがに生徒は来ないと思う。
私もいい加減飽きてきた...。
by umiyuri21
| 2014-05-13 22:00
| ヨガ滞在記
瞑想やヨガ、インド占星術、創作活動、日々の暮らしや旅など、色々綴っております。基本的に長文です。
by Yuriko
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