インディアン・ヨガライフ 第2ラウンド〜Vol.13

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「新しい友人」

 それでも周囲には、以前からジョシーを敬愛し慕っている古くからの友人やヨガの生徒たちが何人かいた。家族からの冷たい風を感じて心細い中で、彼らに会うと私は本当に救われた思いがした。
 そんな折、近所に住むヨガの生徒の一人であるソーマンから、近々自分のヨガスタジオをオープンするから、そのオープニングセレモニーで挨拶とデモンストレーションを欲しいとジョシーに依頼があった。ついでに私もみんなの前でデモンストレーションをしてくれと言う。
 おお、思わぬ場所でヨガデビュー?!

 セレモニーの数日前は、久々にジョシーも気分が乗って、訪ねてきたソーマンと共に色んなアーサナをしたり、スピーチの内容を私の分まで考えてくれたりした。何だかんだ言ってもヨガをやっている間は嫌なことも忘れて、平和な気持ちになれるのだ。
 スタジオはオートで20分くらいのプリンクンヌという小さな町にあった。屋上スペースをトタン屋根で覆っただけの吹き抜けのスペースで、普段はトレーニングジムとして使われているらしい。マッチョな筋肉男子の写真が張ってある。
 
 インド人は何かとセレモニーが好きな人々である。聖音オームの文字を額に飾り、そこにオイルランプを灯すことがオープニングの儀式。それが済んだら、関係者や招待者のスピーチがある。これがどんな式典に行ってもかなり長いんだよね。
 この日は先生のソーマンが挨拶した後、彼と私とジョシー3人でヨガのデモンストレーションとスピーチを行った。その後スタジオの主催者が話し、ぼちぼち終わりかなあと思ったら、最後に近郊の大学でヨガを教えているという教授が現れ、彼のスピーチが延々1時間以上...。いや〜よく喋るわインド人。

 インド人の前ではじめてアーサナを披露した私であったが、特訓の成果が多少あったのか、パスチモッターナーサナとパーダハスタアーサナはとっても美しいとお褒めの言葉をいただきました、良かった!

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 私達はそこで偶然、ある夫婦と出会った。すでに先に会場に来て座っていた彼らは、私達の顔を見ると驚いて駆け寄ってきた。あれ、どこかで見たことのある顔だ。
 そうだ、奥さんの方とはちょうど1年前に、近所のモンコンプという町の寺院で会ったはずだ。その時もソーマンと一緒で、彼がヨガを教えているというプライベート・スクールに立ち寄った帰りであった。不思議な風貌のジョシーに目を留めて、彼女のほうが話しかけてきたのだった。
 あの時、彼女はデリーやグジャラートなどでヨガの先生やアーユルヴェーダのセラピストをしていた、と言っていた。そして今はこの近くでアーユルヴェーダとヨガのセンターを作っているのだと。
 ジョシーは彼女とマラーヤラム語でなにやらヨガの話をしながら、いつもの様に得意のアーサナを見せたのだが、その様子がいたく印象に残ったらしい。
 「去年、あなたたちに会って、是非私の夫を紹介したいと思ったんだけど、もらった電話番号の紙を失くしてしまったのよ、今日会えて本当にうれしいわ!」

 奥さんの名前はラージさん、彼女に紹介された旦那さんの名前はプラデープ氏。顔つきは若々しいが、すでに髪の毛はすっかり白くちょっと年齢不詳な雰囲気だ。そういえば、ジョシーも若い頃から髪が真っ白だったと言うし、こういう体質の人インドには結構多いのかな。彼らは共に長年リシュケシュやデリー、グジャラートなどの高級スパホテルでセラピストやヘッド・マネージャとして働いていたらしい。そのせいか、他のケーララ人とは違い、クルタにジーンズ姿で、ちょっと垢抜けてる感じだ。
 そして去年、ここからほど近いプラデープの実家に戻ってきて、アーユルヴェーダのトリートメントやヨガのレッスンが受けられるゲストハウスを作り始めた。その建物がようやく、つい最近出来上がったという。このセレモニーが終わったら是非見に来てくれ、と言われた。

 もちろん喜んで!という事で、セレモニー終了後彼らの車で家まで向かった。モンコンプはアレッピーからバスで30分位の場所にあり、約800年の歴史を持つ大きな寺院があることで知られている。ノース・ヴェリヤナードは完全な農村地帯だが、こちらは今は廃れてきたとはいえ、かつてのマーケットエリアで、古い邸宅などがいくつも残っている。プラデープ夫妻の家はその寺院のすぐ裏手にあった。
 「アナント・ウェルネス・リトリート」と名付けられたその建物、内装はほとんど自分たちで手がけたという。客室はごくシンプルな作りであったが、ところどころに彼らのこだわりが見て取れた。まず、トリートメントルームには一本の木から彫りだしたというトリートメント用のベッドがあった。
これはかなりレアな代物らしい。「このベッド自体が生きていて、ここに横になるだけでもヒーリング効果があるんだよ。」とのこと。そして2階に大きな瞑想ホールがあった。

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 プラデープ氏はアーユルヴェーダ医師だった叔父さんの元で、小さな頃からアーユルヴェーダを学び、同時に伝統武術のカラリパヤットやヨガ、そして日本の空手にも興味を持ち、様々な修練を積んできたのだそうだ。そして数年前にハリドワールに住むグルジと出会い、今は彼に深く献身している。長年北インドのあちこちで働いてきた夫妻に、地元に戻ってアーユルヴェーダとヨガのセンターを作りなさいと勧めたのは、そのグルジらしい。この瞑想ホールを作ることも彼のアイディアだと言う。
 広々したホールの壁にはプラデープが敬愛するグルジたちの写真がでかでかと張ってあった。最初の師であった、アーユルヴェーダ医の叔父さん、それからOsho、ラーマ・クリシュナ、スワミ・ムクタナンダ、ラマナ・マハリシなどなど...そして最後に最も愛するハリドワールのグルジの写真がドカンと飾られていた。
 しかし写真であってもこれだけパワフルな人物に囲まれていると、彼らのヴァイブレーションが流れ込んで来るのか、この瞑想ホールはクリアで気持ちいいエネルギーに満ちていた。本棚にはプラデープがセレクトしたヨガやスピリチュアル関連の本が並んでいる。
 ホールの西側のバルコニーに出ると、目の前はすぐに運河があった。ジョシーの家の裏手の運河は、随分水が濁っていたが、ここの運河の水はまだまだ澄んでいた。水面を覗くと小さな魚が泳いでいる。人々は未だにこの運河で洗濯をし、食器を洗い、沐浴する。そうしたのどかな風景をバルコニーから眺めることができた。

  家の東側にはガーデンがあり、自分たちの食べる野菜はそこで作っている。もちろん農薬は使わない。プラデープの家は元々は魚は食べていたそうだが、彼もジョシーと同じくスピリチュアルな道を探求する過程でヴェジタリアンに変えたらしい。「ここに泊まるお客さんが、ノンベジなのは構わないけど、ここで出す料理は完全菜食にしたいんだ。」
 そしてガーデンの奥には築400年ほどの古い伝統家屋が残っていた。平屋の木造建築、藁葺きの屋根、真ん中に中庭を囲むロの字型の家だ。伝統的な日本の家に雰囲気が似ている。一昔前のケーララの家はどれもこんな風で、ジョシーが生まれた頃の家も全く同じ雰囲気だったらしい。しかし、木造の為に保存が難しく今はあまり残っていないとか。この家も従兄弟が頑張って修復しながら住んでいるが、藁葺き屋根を瓦に変えたせいで、家全体が沈んで来てしまったらしい。

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 プラデープから家のあちこちを案内してもらって話をしているうちに、 奥さんのラージさんが庭で採れた野菜を手早く料理してくれ、一緒にランチをいただいた。近くで遊んでいた彼らの子どもたちも戻ってくる。12歳のデヴィちゃんと、8歳のシヴァ。二人共小さな頃からカラリパヤットや伝統舞踊を習っていて、体つきががすらりとしなやかなで可愛らしい。なんだか、素敵な家庭だなあ。

 超早口で話し好きなプラデープはかなりのスピリチュアルな探求者であった。まだ若いが(後で聞いたら37歳とのこと。)熱心に色々な修練をしてきた彼はヨガや生活に対する姿勢がジョシーとも共通するところがあり、加えて日本の文化、武道や禅に対して強い興味を持っていた。当然話がはずんだ。
 ヘルシーでおいしいランチを食べながら、思いがけぬ出会いに感謝し、いい時間を過ごせた。いつか機会があったら、ここにアーユルヴェーダのトリートメントでも受けに来たいなあと願いつつ、夕方にお暇する。

 寺院のすぐそばからは、家のすぐ近くまで行くバスが出ており、運良く出発食前に滑りこむ事ができた。彼らに別れを告げ、夕方の涼しい風に吹かれて、気持ち良い余韻に浸って帰宅した私達、しかしなんと!そこで驚くべき光景が目の前に... 
by umiyuri21 | 2014-05-22 00:29 | ヨガ滞在記


旅とヨガとイラストレーション。世界と身体と脳内をめぐる旅。


by 若山ゆりこ

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