インディアン・ヨガライフ 第2ラウンド〜Vol.21

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「スピリチュアル・コネクション」

その日、夕食が済んでも、二人はいつもと様子が違ったままだった。奇妙な気分を抱きつつ、ジョシーの足の治療の為に、私達はトリートメントルームへ向かった。 
足の化膿はもう大分収まってきている。もうスモークは必要なくなって、足をマッサージして軟膏を塗り、最後に軽くハンドヒーリングをするだけだ。
 その途中でプラデープはふいっと急に部屋を出て行ってしまった。はて、何か取りに行ったのかとしばらく待つが帰ってこない。外に出て瞑想ルームを覗くと、暗闇の中彼はそこに坐っていた。
 近づくと、泣いているのだった。

 どうしたんだろう、一体何が起こったのだ?
ジョシーは静かに彼のそばへ寄り、隣に座ってそっと肩に手を置く、するとプラデープは、更に激しくわっと号泣しはじめた。ジョシーに向かって合掌しながら床に身体を投げ出したまま、嗚咽は止まらない。ジョシーはただ何も言わずに寄り添い、やがて、彼の頭に手をおいて、いつもヨガ・レッスンの前後に唱えるグル・マントラを唱え始めた。
 
 「グルはブラフマーであり
  グルはヴィシュヌであり
  グルはシヴァであり、彼自信が至高神です
  尊敬するグルに敬服いたします」

 私はと言えば、目の前の出来事に全く付いてゆけず、ただ呆然と立ち尽くすのみである。
 どのくらいそうしていたのだろう、多分それほど長い時間ではなかったはずだ。プラデープは徐々に平静を取り戻し、起き上がって静かになった。それを見届けると、ジョシーは「ありがとう」とだけ言って、部屋に引っ込んでしまった。
 私はなすすべもなく、かける言葉も見つからず、彼が落ち着いてきた頃、ようやく「おやすみなさい」とつぶやき立ち去った。

 ベッドに入っても、私の頭の中はハテナマークだらけだ。果たして、あれは何だったのか?ここ最近本当に妙な事ばかり起こる。
 人生が急に速さを増し、川から大海へと押し流されてゆくようだ。これから一体物語は、何処へ向かって流れてゆくのだろう。 

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 翌朝、全ては普通どおりであった。
 実は、数日後からプラデープはハリドワールのグルジに会いに2週間の旅に出ることになっていた。その間のジョシーの治療や私のアーユルヴェーダ・トリートメントは奥さんのラージさんが引き継ぐ手筈になっている。
 慌ただしく旅の準備をするプラデープに、昨夜のことを尋ねるのは憚られた。ジョシーもそのことに付いては何も触れない。
 夕食の頃になって、二人の様子がなんとなく以前よりは親密で、言葉を超えた何かを分かち合い、了解し合っているムードだったので、思い切って聞いてみることした。
 「昨日の夜は一体、何が起こったんですか?」
 「彼のスピリットを感じたんだよ。私達は過去世にも会ったことがあるって分かったのさ。ラマナ・マハリシのアシュラムで一緒に座っていたことがあるよ。」
 え〜〜〜マジですか?いきなりのトンデモ発言につい、笑ってしまう私。そしたらプラデープにマジ顔でたしなめられた。
 「何故笑うんだ?じゃああなたは、昨日冗談で大の大人があんなに泣いたと思ってるのか?」
 いえ、別に...いやそうですよね。インド人にとっては過去世はトンデモ話でもなんんでもないわけで。ラマナ・マハリシだって彼らにしてみたら、地元の大聖者さんだから、過去世にそこのアシュラムで出会ってたって、特に唐突な展開ではないですよね。
何も反論できないので、それ以上追求するのはやめた。それは本当かもしれない、本当じゃないかもしれない、ともかく二人が昨夜、何か特別なコネクションをお互いに感じたことは確からしい。

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 その後ジョシーと二人きりになった時、私は興味を抑えきれずに聞いてみた。
「ジョシーさん、プラデープとは本当にラマナ・マハリシのアシュラムで出会ったの?」
「う〜ん、あの人とはチェンナイで会った気がする。」
「それっていつ頃?」
「私が映画のプロデューサーをやってた頃。」
「え〜...それは前世じゃなくて、今回の人生だよね。多分他の人の間違いだと思うよ。」
 実はジョシー先生は昔に出会った人と、現在知り合った人を混同してしまう事が多々あるのだった。私もヨガを習い始めた時、「あなたとはジャバルプールで会ったよね。」としきりに言われ、しかも似顔絵まで描かれ、え?過去世の話??と色めきだったが、実は彼の従兄弟の娘と勘違いしていたのだった。(どうも似たところがあったらしい。)

   どっちにしても、この人達と話していると私の頭の中も不思議の国へとワープしてしまいそうだ。インド人の時間感覚はやっぱり何かを超えている。 
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by umiyuri21 | 2014-05-31 22:30 | ヨガ滞在記


旅とヨガとイラストレーション。世界と身体と脳内をめぐる旅。


by 若山ゆりこ

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