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インディアン・ヨガライフ 第2ラウンド~Vol.22

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「お金とスピリチュアリティ」

 数日後、プラデープはハリドワールのグルジの元へ旅立って行った。寝台列車に乗って3日間の旅路らしい。「帰りははっきりとは分からないけど、3月のはじめには戻ってくるよ。」と言い残して。
 彼がいなくなって、家には我々と奥さんと子どもたちが残された。
 これまで旦那さんのプラデープの事ばかり書いてきたが、奥さんのラージさんもなかなか個性的な人物であった。
 アーユルヴェーダのトリートメント、アロマテラピー、ロミロミ、レイキなど、様々な治療法をひと通りこなし、ヨガも教えビューティーサロンの資格も持つ、多才な女性だ。まわりの同年代のインド人女性とくらべて、服装も垢抜けていてスタイルもいい。
 彼女はコーチンの出身だが、二人はヒマラヤの高級スパホテルで働いている時に出会ったのだとか。カースト違いの結婚で式は挙げずに、書類を出しただけというからインドの中でも、かなり異例なのだと思う。長いことリシュケシュやグジャラートなどで働いていたが、このリトリートセンターを建設するために、プラデープの実家へ戻ってきたわけだ。

 明るくちゃきちゃきしていて、下町の姉御的なキャラクターであった。プラデープはすっかり奥さんを頼りにし、彼女の多才さをいつも褒め称えていた。
 しかし、インド人女性の例に漏れずこの人もめちゃくちゃ忙しいのである。前述したジョシーの友人、トミーさんちの奥さんも一日中働いていたが、あの家にはお手伝いさんがいた。しかし、ここにはお手伝いさんがいない。近所に住む姑さんが時々様子を見に来ていたが、カーストの違いのせいか、若干ぎこちなさが目に見える。
 彼女一人で家事、食事の支度、子供の世話をこなした上に、さらに近所の女性たちにヨガを教え、アーユルヴェーダのトリートメントもする。子どもや親類たちヘのヘアカットも受け持つ。
 私がヘナで髪を染めたいというと、私がやってあげるわ、と櫛もヘアクリップも使わすスプーンと手だけでちょちょいと、ヘナペーストを塗ってくれた。
「私は忙しい方が好きなのよ。」とは言うが、さすがに働き過ぎなんでは...
そのせいでいつもテンパッていることが多く、バタバタしている時は何となく声がかけにくい雰囲気なのである。ノンストップにスピリチュアル談義をしている旦那さんとは対照的なのだ。

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 高級スパのセラピストをしていた頃は、バリバリ働き、かなりの高級取りだった、とこぼすラージさんにとって、自分の才能を生かし切れず、夫の実家でゲストの世話をしながら過ごす日々は、少々ストレスフルな様子だった。
 何かといえば、生活の苦労が口に出る。
 「この辺の人たちはすごく保守的なのよ。アーユルヴェーダのトリートメントにはなかなかお金を出さないのよ。」
 「私達、貯金を全部使ってこの建物を建てたから、今は現金収入が少なくて本当に大変なの。」
 「プラデープはお金はどうにかなる、って言うけど、お金がなきゃ何も出来ないのよ。分かるでしょ。」

 何か、こういう会話って世界中で繰り広げられているような...。ちょっと耳が痛いな...(うちの場合は逆だけど)理想を追い求める夫と現実的な奥さん。お金がないと何もやっていけない、でも世の中で一番大切なのはお金じゃない。この2つのバランスはいつもシーソーのように揺れ動いている。時々二人がそのことで言い争っているらしいのを、私達も時々耳にしていた。

 だからなるべくここに滞在して、多少なりとも現金を落とせば、向こうもハッピーだろうし、私たちも快適な場所で滞在できてハッピーだ。そう思って、1週間のアーユルヴェーダのトリートメントも受けてみようとお願いしたのだが、タイミング悪く、プラデープの不在に重なってしまったので、彼女の負担がますます大きくなってしまった。
 朝起きて、子どもたちの食事の支度をして学校に送り出した後、8時半から私のトリートメントを2時間ほど行う。その後、私は朝ごはんをいただき、彼女は週に3回11時からヨガのクラスを持っていた。そのまま食事をせずに、ヨガを教え、それが終わると午後1時半、今度は私達のお昼の用意をする。彼女が何かを食べられるのはそれが全て終わってからなのだ。加えて朝と晩のジョシーの足の治療もある。私も気を使って洗い物を手伝ったり、自分たちが使うスペースの掃除はしていたが、だんだん済まない気持ちになってくる。

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 そうはいっても、それでも、日々のトリートメントは気持ちよかった。私が受けたのはヴァータのバランスを整えるためのトリートメント、カラリマッサージと呼ばれるインドのツボに相当するマルマを刺激するマッサージとキリというハーブを入れたボウルを身体に当てていく温熱療法、スチームバスとシローダーラ。
 アーユルヴェーダのトリートメント後は身体は敏感になり赤ちゃんのように感じやすくなるらしい。だからなるべく刺激のある行動は避けろと言われた。強い日差しにも当たらない。ウロウロ出歩かない。ヨガもごく軽いアーサナのみ。リラックスしてのんびり過ごし、しかし決して日中眠ってはいけない、と。
 これだけ全身マッサージを受けてボケボケになりつつ、のんびり何もしないで眠らないというのは、なかなか大変だ。日がな一日、ヴェランダに坐って運河を見ながら、睡魔と闘いつつ本を読んで過ごした。
 ちなみにアーユルヴェーダのトリートメントでは、術後の過ごし方も大切なんだとか。1週間のトリートメントをしたら、その後1週間は急に無理に旅行したり、運動したりは避けて、少しづつ身体を日常のモードへ戻す。そうでなければ、せっかくの効果が半減してしまうのとのこと。

 数年前にも一度ケーララで1週間のトリートメントを受けたことがあったが、その時は何も知らずにマッサージの後、海で泳いだり、終了後いきなりビールを飲んだり、長時間移動もしちゃったなあ。おかげで、日本に帰ったら近年あり得ない大風邪を引いて随分長引かせてしまったが、術後の過ごし方に問題があったのかもしれない。

 ラージさんは私の体を触って、「あなたは脂肪が少なすぎるわ、皮膚がやわらかすぎる。こんなんじゃ年をとったらたるんじゃうわよ。」としきりに言う。
「皮膚をしっかり弾力付けるためにも、もっと太ったほうがいい、乳製品をしっかり取らないとダメよ。」 
 その事をジョシーに告げると彼はむっとして私に言う。
 「何故そんな事を気にするのだ?あなたはナチュラルなあなたのままでいいじゃないか。だいたい私と長い間ヨガをやってきて、何故会ったばかりの人の言うことを真に受ける?」
 結局あの乳製品論争は決着が着かず、たまあにチャパティなどにギーがかかっている他は食卓に乳製品が登ることはなかった。彼らは事あるごとに私たちに乳製品の重要さを口にするのだが、ジョシー先生は耳を貸さない。
 
 ちなみに私は彼女には自分の年齢を告げてなかったが、トリートメントの時に「44歳ぐらいでしょ」と当てられてしまった。(当時は45歳)
 通例、日本人はインド人より、10歳前後年若く見えるのが普通なので、歳相応に見られてしまったのは、ちょっとショック...。服装で若作りしていても、肌のたるみはごまかせないってことか、とほほ。乳製品で多少のハリが取り戻せるなら、少しは食べてもいいんだけどね、元々好きだし。

 そんなこんなで、プラデープがいなくなって、微妙に家の空気感は変わっていた。1週間のトリートメントが終わると、ちょっと手持ち無沙汰になってきた。
by umiyuri21 | 2014-06-02 22:46 | ヨガ滞在記


旅とヨガとイラストレーション。世界と身体と脳内をめぐる旅。


by 若山ゆりこ

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