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インディアン・ヨガライフ 第2ラウンド~Vol.23

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「ティルバンナマライ」 

 
 ある朝、朝食を食べに食堂へ降りると、ラージさんに思わぬことを告げられた。
「プラデープが居ない間に、ちょっとコーチンの実家に戻ってきたいんです。いつも彼と一緒だと食べ物の事とか何かと気を使うのよ。だから私と子どもたちだけで戻ってのんびりしようと思って。」
 あらまあ、突然のお言葉!もちろん、彼女は働き過ぎだから、少しゆっくりしたほうがいいんですけど。
 「彼に連絡したら帰っても問題ないって、子供の試験が来週始めにあるから、その日の夕方から戻りたいの、その間この家は誰も居なくなるから、悪いけど留守の間は他の場所に行ってくれませんか?私達が戻ってきたら、もちろんまた泊まって下さい。1週間ほどで戻ると思います。」
 それにしてもいきなりの展開。まあ、私達もここに突然押しかけた訳だから、
行き当たりばったりなのは、別にジョシー先生だけじゃないんだな。

 数日後からの宿がまたなくなってしまった。弟は相変わらずノース・ヴェリヤナードの家に居るし、まだあそこには帰る気になれなかった。
 さて、次は何処へ行くか? 

 私は以前から機会があれば是非、訪れたいと思っていた場所があった。何度も名前が出てくるが、南インドの大聖者ラマナ・マハルシのアシュラムのある、聖地ティルバンナマライである。
 今回インドに来る前に一通りのインフォメーションは調べてきていたし、事あるごとにジョシー先生にも「時間ができたら、ティルバンナマライに行きたい。」とさり気なく告げていた。ジョシーは「その時が来たら、行くよ。」と答えていたが、一向に旅の計画は立たなかった。
 
 ラマナ・マハルシは近現代の南インドが生んだ、偉大な聖者であり、ヒンドゥー教の神秘思想家である。1879年にタミル・ナードゥ州のマドゥライ近くの村で、中流バラモンの家庭に生まれる。特別な修行をすることなく、17歳の時に突然起こった死の体験を経て「肉体は死ぬが魂は不滅である」ということを悟ったと言われる。
 この体験の後、世俗の生活に全く関心が持てなくなった彼は、全てを捨てて、「シヴァそれ自身」と言われる聖山アルナーチャラの麓、シヴァ大寺院の建つ、巡礼地ティルバナンマライへ旅立った。
 以後彼はアルナーチャラの丘の麓に住み着き、何度か居を移したものの、死ぬまでそこを離れることはなかった。弟子たちに教えを説き続け、やがて評判は海外にまで及ぶほどになる。1950年に没したが、その霊廟のあるアシュラムは今も世界中から、巡礼者を集めている。

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 私がアルナーチャラ山の名前を耳にしたのは、12、3年前、確かラジニ・カーントの映画のタイトルが初めてだったはずだ、それと同じ頃、当時通っていたヨガ教室の先生がラマナ・マハルシのアシュラムを訪ね、その話が強く印象に残っていた。
 ヨガの先生はそこで、一人の日本人女性と出会ったのだが、彼女はアシュラムを訪れた瞬間に、強烈な何かに打たれ、そこから離れられなくなったしまったらしいのだ。以後ティルバンナマライに住み着いて、毎朝アルナーチャラの麓を裸足で巡礼するのが習わしになったという。
 聞けばその町には、同じようにそこから離れられなくなってしまった外国人帰依者が少なからず住み着いているらしい、と先生は教えてくれた。
 
 着いた瞬間に離れられなくなってしまうとは、一体どんな魔力がある場所なのだろう。そのエピソードは神秘的なインドのイメージとともに深く私の心に刻まれてしまったのだ。
 しかし当時はまだヨガにもそれほど傾倒している訳ではなく、精神世界の聖地を訪れるのは自分には縁遠い感じがして、ティルバンナマライへ足を向けようとは考えた事はなかった。「ラマナ・マハルシの教え」という本も買ってみたが、難解で全くピンとこなかった。

 再び私が彼の本を開くことになるのは、ジョシーと出会ってヨガを学び始めてからである。師匠のすすめで再び紐解いた「ラマナ・マハルシの教え」は以前とは全く違った輝きを放っていた。その言葉が琴線に触れるようになるまで、10年以上の時間が必要だったのだ。
 彼の本を繰り返し読むにつれ、心の中にしまい込まれていた「着いた瞬間に離れられなくなる場所」のエピソードが急にムクムクと頭をもたげてきた。その場所に是非とも行ってみたい、今なら離れられなくなる理由の片鱗が、ほんの少しでも分かるかもしれない、と。

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 プラデープ家の瞑想ルームには敬愛するインドの賢人たちの写真が飾られていたが、その中でもとりわけ強いエネルギーを発光しているのは、ラマナ・マハルシの写真であった。どの聖者も並々ならない、強いオーラを持っていたが、マハルシの表情の静けさ美しさは群を抜いていた。世界的にも有名な写真で、見るだけで涙が出てくるような神々しさなのである。
 いつのまにか、毎日瞑想ルームに入る度に、壁に飾られた賢人たちに手を合わせるようになっていた私であったが、気が付くといつも、ラマナ・マハルシの写真の前で一番長い時間を過ごしていた。
 しばらく、この家を出ないといけないとしたら、いよいよティルバナンマライへ行く時なのじゃないか?

「彼は、私の一番最初の先生なんだよ。」
 ある日、写真を見ながらジョシーは私に言った。彼が初めてラマナ・マハルシのアシュラムを訪れたのは1974年だったという。その頃チェンナイに住んでいた彼は、機会があればアシュラムを尋ねていたそうだ。
「ということは、彼は私の先生の先生ということですね。」
「そうだね。」
「それなら、私は先生の先生に会ってみたいです。ここを出た後は、ティルバンナマライへ行くのはどうでしょう。」このチャンスを逃さず、私は改めて強く言ってみた。
「...じゃあ、行くか!」

 そう言ってからのジョシー先生の行動は素早かった。
by umiyuri21 | 2014-06-04 21:36 | ヨガ滞在記


日々の暮らし、旅やアート、ヨガなどについて綴っております。


by 若山ゆりこ

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