インディアン・ヨガライフ 第2ラウンド~Vol.24

「何であれ、起こらない運命にあることは、いかにあなたが試みても起こらないだろう。何であれ起こる運命にあることは、いかにあなたが避けようとしても起こるだろう。これは確実である。それゆえ、最善の策は沈黙にとどまることでことである。」  ラマナ・マハルシ

「最も本質的なのは、自分自身を知ることだ。そしてあなたの意識全体を、やること(Doing)から在ること(Being)へシフトしない限り、あなたは自分自身を知る事などできるものじゃない。」Osho

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 「旅支度」

 それまでは、どこか旅をしてみたいと言っても、「準備ができたら」とか「いいチケット見つかったら」とかのらりくらりとかわしていたジョシー先生であったが、今回は違っていた。翌朝にはマーケットに出向き、プラデープの従兄弟が経営しているネットショップで「ティルバンナマライ行きの列車を予約したい。」と申し出る。
 ここからティルバンナマライまでは、チェンナイかもしくはその手前のヴェロールという町まで寝台列車か夜行バスで行き、ローカルバスに乗り換えて約3時間ほどの距離だ。広大なインドの移動距離を考えると、それほど遠い所ではない。
 
 ジョシー先生の足の状態を考えて、身動きの取れる寝台列車で行きたいところであったが、かなり前からの予約でないと席が確保できないと言われる。
 「チェンナイ行きの夜行バスなら毎日走ってるよ、途中ヴェロールで降ろしてもらえばいい。ボルボのリクライニングバスだから、乗り心地もいいよ。」
 夜行バスの値段は1400ルピーほど、2千円以上するからインドでもそれなりのお値段。ならばそれほど悪い車ではないだろう。しかもバスはこの店のすぐ向かいに止まってくれるらしい。
 それじゃあ決まり!それで出発だ。いきなり明日じゃ急すぎるから、明後日の夕方出ることにしよう。
 
 ラマナ・マハリシのアシュラムは事前に予約を取ればドネーションで宿泊が出来るのだが、あいにく急過ぎて部屋は空いていなかった。
 「まあいいさ、直接行けば泊まれるかもしれない。」
 「今回の旅はヨガの旅だから。その間、アーサナは出来ないけれど、この旅自体がヨガだと思いなさい。」とジョシー先生は言う。
 ヨガの旅って何だろう?と思ったがその時は聞きそびれてしまった。

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 その日は従兄弟の店を出て、久しぶりにアレッピーまで出向いてレストランで食事をした。外食したのは3週間ぶりくらいだろうか。毎日ヘルシーでお腹に優しい菜食料理を食べていたので、たまにはちょっとジャンクな、インディアン・チャイニーズを食べてみよう。
 南インドの中級程度のレストランには大抵、普通のインド料理とともに、フライドヌードルや野菜炒めなどのチャイニーズがメニューに並んでいる。その中でも、ゴビ・マンチュリアン(カリフラワーの満州炒め)が私のお気に入りであった。フライにしたカリフラワーを、甘辛のスパイシーな中華ソースに絡めた代物。他の中華、例えばフライドヌードルなどは店によっては、サイテーなシロモノが出てきたりするのだが、このゴビ・マンチュリアンだけは、あまり外れがなかった。
 これをフライドライスにかけて食すのが、私にとってケーララ滞在中、唯一許せる味のインド料理以外の食事であった。
 食事中、ふとさっきの師匠のお言葉が気になり始めた。
 
 「ジョシーさん、さっきヨガの旅って言ってましたけど、それはどういう旅ですか?」
 と、尋ねる私。すると、ジョシー先生はそれには答えず、全く違ったことを延々と話し始めるので、
 「いや、そうじゃなくて、さっきの質問の答えが知りたいんですけど。」
とつい口を挟む。
 「人の話を最後まできちんと聞くこと!それもヨガだ!」
と叱られた...
 「 ここに居る時は、今いる場所の事だけ集中しなさい。今はレストランで食事をしているんだから、この料理と、この料理を作ってくれた人に気持ちを合わせること。」


 すいません...ジョシー先生にはよく、食事をしている時は、食べることに集中しろって言われてましたね。心ここにあらずで、次のこと、先のことばかり考えて、あたふたするのはヨガじゃないですね、確かに。少々反省したので、ノートに旅のテーマを書き付けておく。
 ・物事を自分でコントロールしようとして、余計なテンションを作らない。
 ・今いる所、やっている事に集中する。
 ・リラックスして手放す。先回りしたり、心配しすぎたりしない。
 ・何をするかではなく、どう在るかを意識する。
ま、こう書くと簡単そうなんだけど、こればっかりはなかなか学べずに、何度も何度も忘れては、戻ってきてしまうんですよ。

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 夕方宿に戻り、早速ラージさんに出発することを告げ、荷物を整理する。重たいスーツケースはこのまま置かせてもらって、小さなボストンバッグ1個で出かけることにした。1週間ほどで戻るつもりだったので、3日分くらいの服と、最低限の洗面道具をバッグに放り込む。
 夜になると、久々の外出で疲れたのか、師匠の様子が若干変だ。帽子をかぶったまま部屋の中をウロウロしたり、そのまま瞑想ホールに入って、シャバ・アーサナをすると言いつつ、大の字で寝てしまった...。
 そういえば、師匠と二人きりで、誰も知り合いの居ない場所まで旅するのは、今回が初めてだ。体調管理が少々心配ではある。足の傷は7,8割治癒してきたが、まだ完全に傷口がふさがっている訳ではない。しかし、まあ。心配しても仕方ない。リラックスして手放す。そうノートに書いたばっかりだ。

 この場所にやって来て、プラデープと出会ってから、私の師に対する視点は少しづつ変わってきた。多分彼に「昔の彼はもう死んだのだ。」と言われた事が大きかったのだろう。自分の思い込みや過去に拘ることなく、今、ここにある、あるがままを見ること。大切なのは、その人が何をしているかではない、どう在るかだ。
 
 そう視点を動かした時に、ジョシーが何が出来るかということは、だんだんと意味を失い、彼の在り方にこそ、私は学ぶことが沢山あるのだ、と気がつきはじめた。
それがどんなにスローペースであっても、多少奇妙であっても、彼はいつもその時自分がしていることに、どっしりと腰を下ろし、集中していた。何かをしながら他のことを考えたり、次のことを考えて、あたふたしたり、心配したりすることは決してない。不自由な身体でも、やれることを静かに淡々とやりながら生きている。あまりにマイペースな在り方に、不思議感満載ではあるものの、その事こそ私が学ぶべき、一番大切な事かもしれなかった。
 
 そんな不思議の国のジョシー先生と一緒に、南インドの聖地を旅すると一体何が起こるのか?
 少しの不安がないではなかったが、楽しみのほうがずっとずっと大きいではないか!
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by umiyuri21 | 2014-06-05 22:39 | ヨガ滞在記


旅とヨガとイラストレーション。世界と身体と脳内をめぐる旅。


by 若山ゆりこ

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