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あるがままの自分に瞑想する〜セルフ・コンパッションについて②

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前回に引き続き「セルフ・コンパッション」についてのお話です。この文章はダラムサラにあるチベット仏教の瞑想センターTUSHITAのオンライン講座の内容を元に、自分の感想などを加えてまとめています。


「セルフ・コンパッション」すなわち自分自身に対する慈悲の心。それは自己中心、自己愛、自己犠牲、自分に自信を持つことなどと、どう違うのかを前回書きました。


自己中心とは自分だけに関心が注がれる、自己犠牲は自分のことを後回しにする。いずれも自分と他者の間に垣根があるわけです。慈悲とはその分断を取り去ってゆくあり方です。


では具体的には、どのようなすると良いのでしょうか?


効果が高い三つの方法が挙げられています。


その1:まず自分自身に対して思いやりある言葉を投げかける。

「自分ってサイテー」「こんなことも出来ないの?」「自分が悪いから、こんな目にあうんだ!」という自分に対するネガティブワードを吐かない。


その2:その上で、今の自分のありのままの状態に気づきを向ける。マインドフルであること。ここがいわゆるポジティブシンキングとは違うところです。

今の感情、感覚に気づいて、それをしっかり感じること。


悲しいなら悲しい、辛いなら辛いと自分にとってネガティブな感覚、感情にもオープンでいることです。どんな自分であっても包み隠さず、暖かくOKであること。


そもそも「自分がダメか、ダメじゃないか」を決めているのも自分の思考なのです。だからそうした判断を一旦取り去って、今自分に起こっていることをしっかり感じて、寄り添います。


その3:さらに、起こっている感情や感覚と自己同一化しない。

私たちは何か辛い出来事が起こった時「何故自分がこんな思いをしなければならないのだ。」と考えがちです。まるで世界で自分たった一人だけが悲しみの淵に落ちているように錯覚しがちです。


しかし、それはどんな人にも起こり得ることです。大切な人やものを失う悲しみ、病気や老いにまつわる体の痛み、孤独感などなど...それらは人間に共通なものだという、当たり前の事実に立ち返りましょう。



これってやってみると実感するのだけど、すごく瞑想的なあり方なのです。

その瞬間瞬間のありままの自分に気がつき続ける。その自分に優しく寄り添い続けることは自分に対するとても深い愛情と、辛抱強さを育んでくれます。

「あるがままの自分でOK」なんて自分を甘やかしているんじゃないかなと、全く思う必要はありません。


ほとんどの場合、私たちは自分にとって都合の悪い感情や思考がやってきた場合、素直にそのままにしておくことはできないからです。


例えば私がなにがしかの痛みを伴った怒りを感じたとします。その感情は不快なので、即座に何とかしてそれを感じないように、一刻も早く立ち去ってもらえるようにあらゆることします。何か心地良いこと、美味しいものを食べたり、買い物をしたりして気を紛らわせる。そのような怒りを誘発させた相手を責める(その裏側で当然自分も責めています。)あるいは感情を押し込めてなかったことにします。


ただ「痛み」を痛みとして素直に受け入れれば、いつかは去っていきます。けれど多くの場合、「痛み」をそのまま感じることよりも、感じることを避ける方に、より膨大なエネルギーを使っているのです。ところが感情を抑圧すればするほど、それがトリガーとなり、ちょっとしたことでその感情が再発したり、人生の中で度々そのボタンを押してくる相手が現れるのです。


さて、ここでニュートラルな視点に立ち返ってみましょう。


人間として生を受けた以上、悲しみや傷は当然のように存在し、世界には痛みが満ちています。なぜ痛みが自分に起こるのを間違いだと思うのでしょう?

自分だけはそれを感じないで済まそうと、望むことの方がナンセンスではありませんか?


もしも、自分の友達が同じように痛みを感じている自分を責めたり恥じたりしていたら、きっとこう慰めるはずです。「私にも似たような辛いことがあったよ。」「誰だってそんなことはあるよ。」


自分自身の良き友でいる、ということは、そういう細やかな心の動きに、ひとつひとつ気づけるようになることです。例えそれが心地良くないものであっても、静かにそれと寄り添うことは、多分とても深い心の成熟とキャパシティを必要とします。


そして、ここが大切な点ですが、感じることとそれを行動に移すことは別物です。

怒りをあるがままに感じることは、怒りを表現してもいいということではありません。むしろ、しっかり感じることによって、今まで無意識的にやっていた「感じる」→「行動する」のループを止める選択肢が与えられるのです。


今まで、イライラするとつい周りに無意識的に八つ当たりしていた。そのループを一度止めることができたら?一人の人間を傷つける機会を一回減らすことになります。それがどれだけの連鎖をもたらすか、想像してみましょう。


そのとき「自分に対する慈悲」が「他者への慈悲」に繋がっていくのではないかと思うのです。


「あるがままの自分にOK」でいるのは、本当はとてもとても深い瞑想です。

人生で起こるあらゆることは、心を磨くチャンスになり、消しゴムで消し去るべきことなど、何一つないと気がつくのかもしれません。





by umiyuri21 | 2020-07-01 18:55 | 瞑想


瞑想やヨガ、インド占星術、創作活動、日々の暮らしや旅など、色々綴っております。基本的に長文です。


by Yuriko

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