幸福が生まれる場所
9年前から継続しているチャンネルのようでこれがかなりのボリュームなんですよ。
普通にハウスや〇〇サインの月は、みたいな基礎的なネタから、ジャイミニやナクシャトラまで本当に多岐にわたってるんです。コミラ・サットンやマーク・ボニー、アナンド・アビギャ君などの有名どころとの対談コーナーもあったり。
かつては映画業界で働いていたようで、音声やカメラにも気を使い、ちゃんと作り込んでいます。英語もクリアで表情も豊かで、見ていて飽きません。
特に面白いのは「AXIS DANCE」という、ラーフとケートゥ軸の各位置について語っているシリーズ。最初に本人が踊って登場するというインド人ならではのエンターテイメント精神がたまらないです。しかも内容は結構深い。
で、時間がある時にいくつか意訳して紹介しようかと思っておりました。
今回はそうした膨大なアーカイブの中でも比較的短い小ネタでありつつ、示唆に富み印象的だった動画を紹介してみようと思います。
題して「幸福の源はどこにあるか」
占星術においてどのハウスが最も幸福をもたらすものでしょう?
幸福感や快適さに関するハウスは通常は4ハウスとされています。
私たちが深い安心感を得られる場所、家や母親を示します。
しかし私たちがより深い幸福を感じる場所は、実は8ハウスと12ハウスに表されているのかもしれません。
なぜなら8ハウスは5ハウスから4番目のハウスであり、12ハウスは9ハウスから4ハウス目です。ご存知の通りインド占星術では1−5−9のラインはダルマトライアングル、幸運を示すトリコーナハウスです。
あなたが12ハウスのマターにしっかりと意識を向ければ、大きな幸福を感じることができるはずです。12ハウスのテーマである瞑想やリトリート、長く遠くまでの巡礼は充実感と至福をもたらします。12ハウスは損失のハウスですが、それはアイデンティティを失う場所でもあります。
私たちが通常感じている惨めさは、実のところ自分自身が生み出しているものに過ぎません。それは強い「エゴ」の感覚によってもたらされるのです。「私がこれをやった、あれをやった、これは私のもの、私とは何某だ。」という際限のないエゴの感覚です。このアイデンティティを通してカルマの時計は動き出し、結果を追い求めて惨めになる訳です。
そう言う意味では、最も不幸を生み出すハウスは11ハウスです。希望、欲望、獲得、これらは全てエゴと直結しています。よく言われていることですが、沢山のお金は多くの問題を引き起こします。多くの物を得れば失うことを恐れます。11ハウスは4ハウスから8つ目でもあります。
では8ハウスがなぜ幸福を生み出すのか。
8ハウスは何であれ、あなたを深く変容させるものを表します。また、人は誰でも知らないことを知ることに大きな喜びを感じます。8ハウスはオカルト、神秘主義、秘密のハウスです。人はみんな秘密が大好き、だから占星術が好まれるんです。
隠された物を発見した時、エネルギーを感じ幸福感を得ます。
そしてもちろん8ハウスのテーマの一つである、性的な喜びに人は深く惹きつけられます。この性的な喜びもタントラというスピリチュアルな道と繋がっています。みんなタントラを単なるセックスだと思っているでしょうけど、本当は厳格な儀式や修行を必要とするものですよ。
いずれにせよ、私たちが深い幸福を感じることは、実は12ハウスや8ハウスと関わることであり、それを失うのが11ハウスなんです。
11ハウスは大きな人の集まりを表しますが、そうした大勢の人の中にいると逆に人は孤独を感じるのです。自分が他者と隔たった分離した存在だと感じる時、人は惨めになるんです。
以上意訳終わり
12ハウスと8ハウスは一般的にはドシュタナハウスで困難や損失を表し、できればここに星がない方がいいとは言われますが、モクシャハウスというスピリチュアルな成長には欠かせないハウスです。
逆に11ハウスは分類的にはウパチャヤハウスで、吉ハウスではないのですが、現実としてそこの惑星があると、社会的な獲得や富、成功を示します。
そこにインド占星術の深さと面白さが、(人生の深さと面白さと言えるのかもしれませんが) あると思います。凶はずっと凶でもなく、吉はどこまで行っても吉な訳でもない。常に両義的な意味を含んでいて、その全体性を捉えることが、人生と向き合う成熟したあり方と繋がっているように感じます。
私たちは本当の幸せは「自己」を失うことだと、心の底では知っています。
自己を失う場所、それがモクシャハウスです。
母親の子宮でのまどろみ 安全 4ハウス
深い変容 秘密 8ハウス
瞑想や巡礼 眠り、性的喜び 12ハウス
それなのに何故か「自己」を強化させる、さまざまな行動に駆り立てられるのです。あれが欲しい、これが欲しい、私はあれを達成したい、競争に勝ちたいという。
モクシャハウスの対面にあるのがアルタハウスです。
12ハウスの反対に、競争や労働を表す6ハウスがあり、
8ハウスの反対に、お金や物質的豊かさ、家庭生活を表す2ハウスがあり、
4ハウスの反対に、社会の表に立ってキャリアを積む10ハウスがあります。
いわゆるサンサーラ活動というやつですね。
私たちのエゴが幸せと呼ぶものは、富や成功、理想のパートナといったアルタハウスのテーマを獲得することに関わっています。得たいという欲望に駆り立てる力がカーマハウスに表されているのかもしれません。
けれど究極の幸せは、ただ「自己」という感覚を手放して、深く寛ぐことの中にあります。
どんな立派な家や車があっても、そこで安らかに眠れなければ、人は自分を幸福だとは感じないでしょう。私たちがまざまな物を獲得したい、地位を得たい、成功したい、認められたいと願うのは、それはただ、本当はただ深く寛いで、心配事もなく、安心して眠りたいだけなんじゃないか、と。
同時に、人はずっと眠り続けている訳にもいきません。この世界に生きている限りアルタの活動に関わらなければならないのです。
そして呼吸するように、モクシャとサンサーラの間を行ったり来たりするのです。
吐く息から吸う息、死から生へ、夜から昼へ、古い生から次の生へ。
次はラーフとケートゥシリーズも紹介したいです。
瞑想やヨガ、インド占星術、創作活動、日々の暮らしや旅など、色々綴っております。基本的に長文です。
by Yuriko
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