今年の締めくくりに

 c0010791_2404347.jpg 来週からインドへ行くので、それまでに今年やっておくべき事を片づけようと、ばたばたと忙しい。部屋の掃除、年賀状、仕事、連絡事項などなど一覧表にして終わったら、マルをつけていく。気のせいかもしれないが、自分にとって来年は新しいサイクルが始まりそうな予感がし、今年中にやるべきことはやっておこうという気持ちがいつもより強い。
  部屋の掃除はこの間一段落し、年賀状も作ったし、後何かやり残したことはないかと考えでいたら、ふと頭の中でひらめいた。「おお〜そうだお前がいたか!」と我に返ったのは去年の夏にモロッコで買った20号ほどの絵。気に入って買ったというのに、飾らずに1年以上も部屋の片隅に立てかけていた。これを飾らねば!
  
 この絵はエッサウイラのグナワフェスティバルに行ったときに、プレスルームがあった5つ星ホテルに展示されているのを見つけて一目惚れしてしまったのだ。エッサウイラは何故か地元のアーティストが沢山住んでいるらしく、小さながギャラリーがたくさんあって、絵が売られている。高級ホテルに展示してあるんだから、マージン取られて相場より高そうだ、と思ったので、町のギャラリーで同じような作品を探してみたが、やっぱりこの絵がいい。
 似た作風も結構あるのだが、色合いとかバランスとか人間の表情とか、何かが違うのだ。ブルーの額と絵の組み合わせも素敵だ。割と大きいのでしばらく迷ったが、2度目に見に行ったときに作者の女性がちょうど居て、これも何かの縁だろうと、値段を尋ねてみた。300ドル。ちょっと高いけど、買えない値段じゃない。値下げ交渉をしてみたが、同じ絵を描く身としては買いたたくのも気が引ける。結局おまけに素焼きにペイントした人形を付けてもらって、300ドルで買った。
 
 ところが自分で手にしてよく見ると、手製の額は角をホッチキスで留めただけでグラグラで、絵も釘に引っかけた状態で額に固定してあり、非常に危なっかしい。案の定、日本に持って帰って来る段階で額は崩壊してしまった。そして自分の部屋に戻ってみると飾るスペースがなかった。
  額を補修してきちんと地震が来ても壊れない状態に直す、飾れるスペースを作る。この2点をいつかやろうやろうと思いつつ・・気が付くと1年以上経って居たわけだ。
 ふと我に返って見れば自分も絵を描くんだから、こういう放置の仕方をしてたら絵の神様にもしかられそうだな〜深く反省。早速ハンズで補修のためにねじやら釘やらを調達してきた。私の性格のホントに悪いところは、もの凄い面倒くさがりだということ。こういう些事を遂行するのが一大事なのである。大抵寸法とか間違えて、一度の買い物じゃすまないからね。
  と言う訳でなんとか、試行錯誤して、きちんと飾れる状態まで直したのだ。マメな人ならどうってことないんだろうけど、私にとってはなにか大仕事をやり終えたような気分になってしまった。改めて、壁に飾って絵を眺めると、やっぱりいい絵だと思う。心なしか絵も喜んでくれている気がする。早く飾れば良かったんだよね。
  
c0010791_2412444.jpg 私はいわゆるアウトサイダー・アートとか、ナイーブ・アートとか言われる絵が大好きだ。これらは主に正式な美術教育を受けていない人によって描かれた絵で、精神を病んだ人が自分の内面のビジョンを表現した作品も多い。パースとかデッサンとかは狂っていても、「上手い絵」には絶対に出せない真っ直ぐな表現や、迫力がある。流行とかスタイルとか、売れるとか売れないとか、アーティストとしての自意識とか、そんなもん全く関係なしに、ただ描くんだよ!という真摯な想いがひしひしと伝わってくる。だから見ていると元気になるし、勇気づけられる。

  稚拙であっても関係なしに、内面の赴くまま、自分の衝動に従ってひたすら作品を作り続けた異形の芸術家達をフランスの現代美術家ジャン・デビュッフェと言う人は「アール・ブリュット(生の芸術)」と呼んで積極的にその作品を収集した。そのコレクションを収蔵した美術館が、スイスのローザンヌにあり今年パレオフェスティバルに行くついでに、見に行ったのだ。この話、誰にもしたことがないからついでに書いちゃおう。
 アール・ブリュット美術館には昔から興味があったが、はっきりいって高級保養地のローザンヌになんて一生訪れることもないだろうと思っていた。人生何が起こるかわからない・・。
 この美術館、実に実に見応えがあったのだ。もう一度、いや何度でも行きたい。今まで本で見て知っている絵がいくつも展示されていたが、実物はものすごい大きさだったことが判明ししばし唖然とする。とにかく巨大な空間に、細かくもやもやした意識の言葉にならない、混沌としたイメージがびっしり描き込まれている。ロマンティックな甘すぎる幻想、暗闇の中に見える夢、無意識の奇妙なノイズ、小人や植物や角の生えた動物。異教的な自然崇拝が見え隠れする。
  いわゆるフォークアートとかナイーブ派とか呼ばれている作品は、幻想的であっても明るい作品が多いけれど、このアールブリュットというやつはどっちかというと重い。人の心の暗黒面がひしひしと伝わってくる。日本でも「アウトサイダーアート」という画集が出版されていて、ここに展示されている画家の経歴が載っているけれど、それもまた半端じゃないんだな。(ご興味ある方は図書館で借りてみて下さい。)と、同時にルーブルやオルセー美術館に飾っている絵の何倍も共感できる。この人達が何を描こうとしているのか、絵を描く自分にはすごくよく分かる。とはいえ、このすさまじいばかりの集中力とエネルギーは、全く自分には及ばないものだ。本当に感動して食い入るように見てしまったけど、この絵は自分の部屋に飾ろうとは思わないなあ・・。だって狂気に影響されて、自分もバランス崩しちゃいそうだもん。
 でも、一見の価値はあるからスイスに行く機会がある人は是非、といってもスイスに行く人なんて私の友達にはいそうもないなあ・・。

 c0010791_14101567.jpg で、私の買ったモロッコの絵は生々しいアール・ブリュットというよりはフォークアートとかナイーブ派といえるものだろうけど、画家のプロフィールにはオートマティックに描かれた絵、と説明されていた。まあ、降りてきちゃってる訳ですね。そんなことを思い出しつつ、壁に掛けた絵を改めて鑑賞していると、ふと実はこの絵って、ほのぼのした結婚式の絵に見えてたけど、結構サイケデリックかも・・と思えてきた。
 真ん中で浮いてる人は単なる楽団で、たまたま浮いちゃって描かれている思ってたけど、本当に浮いてる人なのかも・・いわゆるジン(精霊)ってやつ?ってことは真ん中は普通の女性じゃなくて、聖なる存在を呼び寄せている人・・とか。それで、背後に飛び交ってる模様は当たりに放出されているエネルギーのようなもの・・。なあてね、でも実際グナワの儀式でトランスしちゃってる人も見てるから、あながち的外れではないんじゃないか??などなど深読みしてみる。夫に意見を聞いてみると「違うんじゃないの?」と言われちゃったけど。・・・・みなさんどう思いますか? 

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by umiyuri21 | 2005-12-17 02:32 | アート


旅とヨガとイラストレーション。世界と身体と脳内をめぐる旅。


by 若山ゆりこ

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