Almond Eyes Lotus Feet

 c0010791_1118576.jpg 前回のネタが反応あったので、また自慢の本を披露することに。
 今年の頭にインドで見つけた「Almond Eyes Lotus Feet 〜Indian Traditions In Beauty and Health」。この本はインドの皇族の女性が、宮廷での生活と、そこで学んだ美と健康の知恵について書いた本。どう?表紙がキレイでしょう!写真の少女のたおやかな美しさと、インドっぽい鮮やかなピンク色の装飾。この装丁が大好きで、時々眺めてはうっとりと幸せな気分になっているのだ。中も図版がいっぱいの美本。最近ゲットした本の中でも特にお気に入りの一冊なのだ。
 ちなみに、この本3000円以上したんだよね、インドで。すげ〜高級品。日本円で一万円くらいの感覚なのでは・・。本屋だけでなく、ボンベイのお洒落ブティックにも並んでいて、西洋人のマダムも買ってたな。レシピ集というよりは、著者の回想録のような本。すでに70歳を過ぎてる著者が、インドでも既に失われつつある、伝統的美容法を自身の経験を交えながら紹介してゆく。こっちは英語も平易でわりと読みやすく、結構面白い。皇族の女性といっても女性であることには変わりなく、インドの古い女性観に対する窮屈な想いや、嫁に行ってなかなか子供ができなく、周りからイヤミを言われたとか、初潮が来たときに戸惑った話とか、率直に書かれていて共感できる部分が多い。 普段インドに行っても生の女性の声なんか聞く機会がないから、私には貴重だ。

で、この本には実際彼女が宮廷などで教わった、様々な漢方薬やトリートメント法が紹介されている。本も書くくらいのインテリジェントな女性だけに、若い頃からアーユルヴェーダに興味を持って、宮廷出入りの医者から本格的に学んだらしい。とはいえ、アカデミックな口調では全くなく、実際の女性の生活に根付いた民間療法のレシピが、同時に紹介されているのが興味深い。
例えば・・
 
 妊娠したいときには:若く柔らかい菩提樹の芽を引き抜いて、すりつぶし、小さな丸薬を作る。これを朝に一つ、夜に一つ飲む。4日間続ける。

 妊娠したくないときには:二にぎりのタマリンドの種を蒸して、それを天日で干す。外側の皮がはがれて来たら、皮を剥き、すりつぶして粉にする。そこにターメリックパウダーと、ブランデー少々、砂糖を加えて捏ねる。細長い丸薬を作り、殺菌したガーゼで包んでタンポン状にする。それを夜膣に挿入し、朝外す。 これを3日続ければ処女のような膣になり、7日続けると2,3年は妊娠しない。15日間続けると、二度と子供ができない。

  などなど。この不妊タンポンはさすがに著者は試したことがないらしく、後年知り合った助産婦さんから聞いたのだそうだ。助産婦さんはこのレシピを祖母から教わったとのことで、女たちは度重なる妊娠の苦労に対する秘密の抵抗を試みていたという訳。
 古来から世界中の助産婦さんは、こうした男性には秘密の知識を保持していた。出産の痛みを和らげる薬、また堕胎による受胎調節まで行っていたと言われている。中世のヨーロッパではこうした女性による、薬草類を使った民間治療は、キリスト教の価値観に基づいた、男性によるアカデミックな治療法と真っ向から対立した。助産婦さんは魔女扱いされ、その知識も根絶やしになってしまった。
というのはヨーロッパの話で、その外側の世界では、近年までちゃんとそういう知恵が伝えられてきたのだ。多分日本にもあったんだろう。本になることもなく、誰かが記録することなく、途絶えてしまったものも沢山あるんだろう。ヨーロッパでは大鍋が魔女のシンボルとされていたらしいが、鍋に様々な薬草を入れて、秘密の丸薬などを作るという行為は、本当に魔女そのものだ。自然と結びついた神秘的な知識を沢山保持している女性が古来から魔女と呼ばれてきたのだろう。

 c0010791_11201356.jpg それで、思い出した。
 先日、サラームが国際交流基金でグナワについての講演を行った。その際、地元のミュージシャンで異様な存在感のあるハディージャという女性(写真参照)が髪を振り乱して踊るシーンの映像を見せた。終了後、来て頂いた人から「あのハディージャってひと有名らしいですよ。ヒーラー関係者の間では。」という新情報をいただいた。どうりで、見たときにすげ〜魔女っぽい人だなあと思ったらホントの魔女だったらしい。
モロッコには魔女っぽい人が結構いる。作家ポール・ボウルズの奥さんジェーン・ボウルズも一説には、お気に入りのモロッコ人女性に黒魔術をかけられて、病気になったと言われている。トランスの儀式グナワもそうだし、エジプトあたりに比べてイスラム以前の古い文化が残っているんだな。
 私はこうした魔女の怪しげな術と、一見他愛もないようなハーブを使ったパック剤や、クリームの作り方なんていうのは繋がっていると思っている。だからこそ妙に興味が沸くのだ。風呂場でハチミツや粘土をこね合わせた物なんかをを肌に塗っていると、うきうきとスリリングな気分に浸れるんだよね。
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by umiyuri21 | 2006-03-14 11:21 | 美容


旅とヨガとイラストレーション。世界と身体と脳内をめぐる旅。


by 若山ゆりこ

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