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カテゴリ:ヨガ滞在記( 103 )

インディアン・ヨガライフ〜ケーララの村で暮らす Vol.3

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不思議の国のヨガ・ティーチャー
 
 しかし本当に彼のレッスンは驚くことが多かった。ある日は瞑想について2時間ほどずっと話してくれたものの、事故の影響なのか元々の性格なのか、日本語がままならないせいなのか、とにかく表現が異次元的で謎が多く、ほとんど意味が分からない。ある日は初めて来た生徒に、いきなりスパルタ的に何度も同じピポーズを取らせ、泣かせてしまうこともあった。
 それでも私は彼のヨガ哲学とその教え方に、今まで出会ったことのない大きな魅力を感じ、急速にのめり込んでいったのだ。
 彼の身体に対するアプローチは本当に奥が深かった。今まで出来たつもりでいた簡単なポーズも、ちょっと体の位置を変えるだけで全く違うものになる。それはささいな足の向きや重心のかけ方だったりするのだが、そこを改善すると身体感覚が大きく変わる。何故今まで誰にも直されなかったのか不思議に思うほどだ。しかも自分の身体の状態を本当によく見ていて、悪いところを的確に指摘してくる。とにかくスパルタなので日々の復習は欠かせず、そのおかげで体の調子もだんだんと良くなってきた。そして謎の異次元トークの合間合間に、時々はっとするような深い言葉が飛び出すのだった。
 元々インド人びいきの私、彼の価値感、物事の捉え方に触れることは、インド的な考え方を学ぶ絶好の機会でもあった。さらに彼の持つバックグラウンドはインド的なものにとどまらず、西洋のヒーリングワークや、日本の武道の知識も含まれており、そんな彼のセリフを聞いてこっそりメモるのがレッスンのもう一つの楽しみとなっていったのだ。
 
 ジョシーと話すうちにだんだんと分かってきた事は、彼の歩んできた人生のなかなかの波瀾万丈さであった。彼はすでに還暦を超えていたが、その年代のインド人としてはちょっとぶっ飛んだ経歴だ。彼の人となりを紹介するのに丁度良いので、そのバイオグラフィーを足早に書き留めみると、こんな風になる。
 
c0010791_13333984.jpg ジョシーの誕生日はちょうどガンジーが暗殺された日、幼い頃からスピリチュアルな気質でヨガに興味を持っていたことから、ガンジーの生まれ変わりかも、と半分冗談伝で言われていたとか。実際ガンジーは幼い頃の彼のヒーローだったそうだ。彼の家庭は大きな田畑をいくつも持ち、事業も手がける地域のリーダ的存在。いつも様々な人が家に出入りしており、クリスチャンの家庭だったが、巡礼の為に町を行き来するヨギたちにも寝食を提供していた。6歳頃からジョシーはこうしたヨギたちからヨガを習い始める。周りにはあまり本格的にヨガを学んでいる子供がいなかった為、10代の頃からヨガのデモンストレーションをしたり教えたりすることが多く、クリスチャンのノンヴェジタリアン家庭の中で、早くから一人で菜食を実践していた。
 こうしたストイックな性格の一方、芸術的な才もあり、絵を描いたり、親戚が映画の制作会社を営んでいたため、子役で映画に出演したりモデルをやったりしていたのだとか(今でもカメラを向けるとポーズは上手い)

 
飛び級で小学校に入学した彼は、大学を卒業した19歳でいきなりナガランド州のカトリック系のハイスクールの校長先生に。なんでも予定していた校長先生が病気になったため、小さい頃から人前に出たり、教える経験のあった彼が抜擢されたとのこと。校長先生の傍ら知人とフォトスタジオとレストランを経営。
 3年後に学校を退職しチェンナイへ、一転し親戚の映画会社でプロデューサーとなる。服飾デザインもできたので、映画のコスチュームを自分でデザインし、自ら縫って俳優に着せていた。この70年代のチェンナイ時代は彼曰く「ゴールデン・エイジ」とのこと。映画産業の華やかな世界に出入りしながら、映画製作の合間にヨガのアシュラムを巡ったり、様々な著名なグルたちに会いに行く。和尚もクリシュナムルティもオーロヴィルのマザーも生きていた時代。インド精神世界のゴールデン・エイジでもあったのだ。


 しかし彼はその華やかな生活を捨ててしまう。次はインドを出て、ヒッチハイクでヨーロッパへと向う。ちょうど沢木耕太郎の「深夜特急」と同時代。小説ではインドの貧しさやインドを旅する西洋人バックパッカーの様子が描かれているが、その中に混じって旅するインド人はほとんど稀だった。
 ドイツに辿り着いたジョシーはアンティークの修復の仕事に興味を持ち、その技術を習得。3年ほど滞在した後、今度はカナダへと向かい、カナダでアンティークの修復業やアーティスト、映画カメラマンのアシスタントとして生活。その途中に渡米しフロリダでインテリア・デザイン仕事をしていたこともあるらしい。さらに、ヨガの実践の中で食事法にも並々ならぬ関心を持っていた彼は、友人とヴェジタリアンのデリを始める。
 
 ちょうどこの頃日本人の奥さんKさんと出会い結婚。カナダと日本とインドを行き来する生活をしばらく続けた後、90年代半ばに日本に定住。ヨガを教え始める。まだまだヨガの認知度は低く、そんな中インドの伝統的なヨガの経験が豊富にあり、同時に西洋的な感覚も合わせ持ったジョシーの存在はかなり貴重だったはず。実際彼は、今のヨガ界を担う著名な先生を何人も教えている。ヨガを教えながら自身も日本の暗黒舞踏や武道を学び、空手2段、弓道5段の腕前となる。
 
 と、かなり早足に書いても息切れがするほど、ジョシーの人生はめまぐるしい。はじめ私は(インド人だし)彼が少し脚色して自分の話をしているのでは、と思っていた。しかし実際インドで彼の親戚や友人に尋ねると、やはりどうやら嘘でないことが分かる。「でも、どう計算しても65年の人生でどうやってこれだけの事が出来るのか分からないんですよ。」と言うと彼らはニヤッと笑って「それがジョシーなんだよ」と言うのだ。
 
c0010791_13342887.jpg しかしそんな彼に大きな転機が訪れる。2010年の夏に車を運転していてトラックと衝突。右足を5箇所骨折し、脳挫傷を負う、殆ど瀕死の重傷だった。25日間意識不明の状態が続き、医師は意識が戻らなと足の手術が出来ないので、切断を進めたものの、奥さんが断固として断りそれを免れる。やがて意識を取り戻し、ようやく足の手術を終えた彼は医師から、「歩けるまでには数年かかる」と言われるが「すみません私はそんなに待てません」と答え、2ヶ月ほどのリハビリで歩けるようになったそう。
 奇跡的な回復力でヨガを教えられるまでになったジョシーだが、それでも事故の後遺症は決して軽くはなく、以来冬の間はインドで療養し、暖かい季節に日本でヨガを教える生活を送ることに。私が出会ったのはその事故から2年程たち、ようやく自分の足で長時間歩いて遠出できるようになったばかりの彼だったのである。
by umiyuri21 | 2013-05-15 13:41 | ヨガ滞在記

インディアン・ヨガライフ〜ケーララの村で暮らす Vol.2

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スパルタ・レッスン 

 アルバイトを始めて一ヶ月ほど経ったある日、自転車でお店に向かう途中、ふと「ああのヨガの先生はそろそろインドから帰って来るのではないか?」と思い浮かんだ。お店に入ると予感通り不思議な風貌のインド人が立っている。それがヨガの先生ジョシー・ヴァリチェリーだった。
 確かに彼はかなり変わった人物だった。事故の後遺症なのか動きはかなりゆっくりとし、大きな目をギョロギョロさせて瞬きもせず人をじっと見る。当初私はヨガの先生というのだから、パリっとしたクルタパジャマに身を包んだ、清潔でシンプルな装いのインド人を想像していたのだが、ジョシー先生のいでたちはかなりファンキー。つば広の帽子に腰まである一本ドレッドヘアーに泥染めの派手なパンツ。首にはアクセサリーをジャラジャラと付け、どっちかというとゴアあたりにいそうなヒッピー風のガイジンなのだった。
 そして彼は自分の事をこう自己紹介した。「私は先生ではなくてヨギです、ヨガを実践する人。私は今もヨガを学んでいる人です。」 

 
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 先生の不思議なオーラに少々ビビりつつ、私は恐る恐る彼のヨガ教室に足を運んでみた。沢山の生徒がいるかと思いきや、その日教室にやってきたのは私一人。まじ、いきなりあの先生とサシでレッスンするのか?と冷や汗でいると、マントラを唱えた後にいきなり彼が「じゃあ足を開いて!」と開脚のポーズをしろと言う。で、そのまま手を水平に伸ばし、上半身を倒して顔を床につけろと。
 これまでも他のヨガ教室に何年か通った事があったが、最初はゆっくり準備体操的なストレッチがあり、少しづつハードな動きに入っていくのが常だった。ところがいきなりハードコア。以前通っていた教室の先生がよく言っていた「いきなりキツイポーズをやると身体がびっくりするから気をつけて下さいね」という言葉が頭をよぎるが、それも何もあったものじゃない。手を使って前に倒れる事は出来ても、手を水平に伸ばしたまま腰の関節だけ前に倒すなんて無理だ。
「できません」と言うと、「何故出来ないと言うの?やりなさい!!」といきなりスパルタ。全く手加減してくれないので、これは私にはダメかもとすでに逃げ腰状態でいたところ、そこに長年のお弟子さんと思われる女性が入ってきた。

 
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 彼女が来てくれたおかげで急に空気が柔らかくなった。彼女が先生のやろうとしている事、言わんとしている事を上手く日本語で解説してくれるので、ようやく緊張感が抜けてくる。いくつかのアーサナをやった後、先生が私の尾てい骨の少し上をぐいと前方に押し、「ここです、腰を前に開きなさい、縮めないで!身体はすっと伸ばす。立つ時はしっかり足の裏を意識しなさい。」と言う。
 
 開脚のポーズで腰の関節を柔軟にした後に、そうやって立ってみると、あれ!と思うくらい身体感覚が変わった。太い幹が上方にしゃんと伸びるように、身体がすっと安定する。へえ、この骨を開くとこんなに楽に立てるんだ、と結構目からウロコ。まあ、これはほんのスタートでここから件の開脚ポーズの長い特訓が始まるのだが。
 
 レッスン後、先のお弟子さんと少し話をすると、何と私が随分とお世話になっている整体の先生の親しい友人であることが分かった。実際私は彼女の事を整体の先生から何度か聞かされていたのだ。こんな所で繋がるとはすごい偶然。これは何かの縁、とりあえずジョシーのヨガ教室に通ってみようではないか。
by umiyuri21 | 2013-05-14 22:19 | ヨガ滞在記

インディアン・ヨガライフ〜ケーララの村で暮らす Vol.1

とっても久々にブログを更新しました。ケーララ怒涛のヨガキャンプ紀行、続けてアップしていきます。

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事の始まり

昨年の12月、ケーララ州の小さな村に住んでヨガを勉強しようと決めたのは本当に突然のことだった。色々な事が次々と起こり、自分でも訳の分からぬままバタバタと支度をし、周りにどう説明していいかも分からないので、あまり人にも告げづに旅立ってしまった。
 ケーララで私を待っていたのは、ヨガを学ぶことの予想以上の厳しさと共に、今まで知ることのなかったインドの村の暮らしであり、ケーララの豊かな自然、そしてその、のどかな村の暮らしさえ急速に変えつつある今のインドだった。
  
 そもそも何故そんな所へ行くことになったかと言えば、事の起こりはごくごく近所から始まった。経堂の自然食品店のアルバイト先で、ケーララ出身のヨガの先生に出会い、彼の教室に通うようになったのである。
 それまで私は約8年間ベリーダンスを習っていた。ところが11年の秋ごろに著しく体調を崩してしまい、すっかり教室に通えなくなってしまったのだ。
 実を言えば、その1、2年前から自分の中で踊りに対するモチベーションは、少しづつ下がってきていた。敬愛するベリーダンスの師匠ミシャールがバリ島に移住してしまったのも一因だったと思う。自分の中踊ることは自分にとって大切な魂の支えなっていたはずなのに、いつの間にか楽しく踊れなくなっていたのだ。


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心にぽっかり穴が空いたような気分でいるうちに、1月25日のエジプト革命に遭遇したり、3月11日の大震災がやってきたりで、今まで信じていた価値感が更地にされたような不安を感じ、ますます踊りどころではなくなってきた。その頃、年齢的にも体調の変わり目にあり、今までにない様々な不調に襲われるようになった。神経がピリピリ緊張して寝付きが悪くなったり、生理前や雨の日には鬱々と頭が重くなる。妙に光が眩しく感じたり、結膜から出血して目が真っ赤になる結膜下出血に度々かかるようにもなった。最初はああ、若年性の更年期か、それとも震災のストレスかと受け流していたが、ある日突然、外出するのもままならなないほど不調が悪化してしまったのだった。どうしていいか分からずに、どん底の気分で病院をあちこち回るがなかなか良くならない。ついに思い切って心療内科の扉を叩くと、そこで貰った自律神経調整薬が意外と効いてくれた。おかげで数カ月後にはなんとか外出できるようになり、12年の春にはインドを旅するまでには回復してきた。

 
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 まだまだ完璧とは言いがたいが、少し元気になってきたし、何か身体を動かしてリハビリせねばと考えている時に、ちょうど友人から近所の自然食品店でのアルバイトを紹介された。そのアルバイト先の同僚に「近所に面白いインド人のヨガの先生がいるんだよ」と聞き、直感的に「あ、次はそこでヨガをやろう」と思ったのだ。
 
 何やらそのヨガの先生はかなり変わった教え方らしい。日によってレッスンの間中マントラを唱えたりするから、普通のヨガ教室を想像して行くとびっくりする。そして彼は2年前に交通事故に遭い、瀕死の重傷を負うがヨガの経験で奇跡的に回復した。今インドに療養を兼ねて里帰りしており、もうすぐ帰ってくると。
by umiyuri21 | 2013-05-14 22:05 | ヨガ滞在記


旅とヨガとイラストレーション。世界と身体と脳内をめぐる旅。


by 若山ゆりこ

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