カテゴリ:映画( 23 )

内なる王座

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めっちゃ今更ながらインド映画「バーフバリ」にはまってる私(笑) この映画がインドで公開されていた2017年中、私はインドにいたというのに、全く気付くことなく過ごしていた!そして帰国してからも、友人にしつこく勧められていたが、目の調子が悪いので、映画を観る気になれなかった。


で、よーやく劇場公開終わるギリギリに足を運んだ訳だが、久々にインド映画の快楽に持っていかれましたわー。南インドが舞台なのもいいしね。

何といっても、インド映画ならではの感情の盛り上げ方の巧さよ。極上のインド古典音楽を聴く時にも勝るカタルシス感。場面場面に細やかに用意された決めのアクセント、映像のスケールのデカさ。それが見事に音楽にシンクロして、否が応でもガンガン心が盛り上がる。

まーここまでハッピーに洗脳してくれる映画づくりは、世界広しといえどインド映画がダントツでしょう。


しかし困ったことに、あまりにも映画の洗脳力が高すぎて、ここ数日毎朝瞑想してても頭の中にグルグルとバーフバリ様がわー、これは何なんだ?!あの映画何かサブリミナル効果でも入れてるんじゃないの?ってくらい、脳みそにがっつり刷り込まれてて、笑っちゃいます。


つまり、たがが映画でも強烈な体験をするとここまで心にくっついてしまうんですね。スピリチュアルな例え話でよく使われるのは、私たちは普段から映画を見るように人生を生きているということ。本来はスクリーンに映像が映し出されているだけなのに、その映像が本当であるかのように、笑ったり泣いたり怒ったりしてしまう。その映像はそれぞれの脳が作り出したもので、私たちの本来は広大無辺の透明なスクリーンの方なんだけど、それには気がつけない。


作りものって分かってる映画ですらここまで脳に張り付くんだから、人生で出会う感情、そして情報、親や先生の言葉、時代的な価値観などなどに私たちがどれだけ影響されているか!そうしたものが固まって雲のようになって、私たち物を見る目の前にフィルターをかけている。


例えば人の感情でかなり強度の強い「恋愛感情」。

現実の恋は色や音があるだけでなく、触れることが出来て香りもある。映画よりもずっと強い。恋する人の眼差し、一緒にいることの心地よさ、胸がドキドキ切ない感じ。「バーフバリ」の中でだって、デーヴァセーナへ恋心のために彼は約束されていた王の座を棒に振ったではないか。それだけ、恋の起爆力は破壊的。恋は盲目、まさにその通り。恋は私たちの「見る目」に覆いをかける。


だから「恋」はものすごく危険で、古くからスピリチュアルな修行をする人たちは、危険な「恋」を遠ざけてきた。さらにインドの伝統的な社会では「恋」などという一時的な感情に惑わされぬように、親同士が社会的にベストな結婚を決めてきた訳。その代わりに映画の中ではこれでもかーっていう豪華絢爛な恋物語が展開されて、それを観ればとりあえず感情の飢えは満たされる。

だから夢のような恋が描かれるのは、映画の中だけ。

後先考えずに危険な恋に頭から突っ込んでいくヒーローやヒロインは英雄になる。


でも幸い私たちは比較的自由に恋ができる社会に生きている。

そして時代は少しづつ変わり、私たちは気がつき始めてる。


感情を避けることが、感情を超えることじゃない。

自分をコントロールする事が、自分を超える事でもない。


開くこと

胸のかんぬきを外し、重く閉じた扉を開く

その時、あらゆる感情や時に批判の矢が降り注ぐかもしれない

けれど一本や二本それが当たったからといって、私たちは死なないのだ

むしろ打ち抜かれることで、ハートはもっと大きく開き、強くなる

敵は自分のエゴ、あるいは社会の声、そして恐怖

その矢をくぐり抜けた向こうに 内なる玉座がある


私たちは皆「私」という魂の王国の王なのだ。

自分自身でないものをその玉座に座らせていないだろうか。

偽物の王様がふんぞり返って、自分に恐怖政治を行っていないだろうか。

「バーフバリ」のストーリーは単なるカタルシスだけでなく、内なる成長の物語とも読める。

神話的なストーリーってそれだけの広がりを持っているし、だからこそ深く刺さるんだ。


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by umiyuri21 | 2018-07-26 18:05 | 映画

ソング・オブ・ラホール

 
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 今日は映画「ソング・オブ・ラホール」とそれに引き続き、パキスタン協会が主催する村山和之先生による映画にまつわる講演会に行って来た。1日どっぷりパキスタンDay。映画はパキスタンの伝統楽器でジャズの名曲を演奏する、サッチャル・ジャズ・アンサンブルというグループと、その音楽家達がテーマになってる。

 彼らの音楽を初めて聞いたのは、2011年。インド亜大陸の古典楽器で演奏されるジャズの名曲は、聞いた瞬間にえっ!って笑っちゃうんだけど、よく聞くと凄い、二度三度と聞くとじわっと染みる、不思議な魅力があった。
 丁度時は大震災の直後、不安定な空気の中で、彼らの音楽を聴く度に、瓦礫の中に咲いた一輪の花、といったイメージが思い浮かんだ。それは小さな、でも力強い希望の感覚で、その裏側に痛みと悲しみを併せ持っている感じがした。それがJAZZの名曲のなつかしいメロディーと相まって、何とも惹きつけられる。それはインドの最近の音楽にはない繊細な感性で、私はその音楽が生まれた場所の背景に、とても興味を持った。そういう経緯で、2012年の冬に彼らの取材をするという村山和之先生に同行させていただき、サッチャル・スタジオを訪れたのだった。

 そんな彼らのドキュメンタリーが日本で上映されるなんて!感無量...!


 今日映画を見ていて、あの時自分が感じていたイメージがあながち間違っていないのだと、改めて実感した。瓦礫の中に咲いた一輪の花。
 映画の中でバーンスリー奏者のバーキルが言う。「自分が痛みや悲しみを抱えていないと、魂の籠もった演奏はできない。ラーガの中に込められた悲しみを表現することはできない。」
 
 インド亜大陸の文化圏では彼らの地位は低く、加えてイスラム教の原理主義化で音楽産業は衰退を余儀なくさせる。生活は厳しく、その中で彼らは、自分が継承してきた音楽の技能をそして文化を途絶えさせたくないと願う。
サッチャル・ジャズの音楽にはそうした希望が込められている。

 映画の中でも、音楽を聞きながら、何度も切ない気持ちになり胸を締め付けられた。それが彼らの音楽の底流に流れるラサなのかもしれない。
 地味なドキュメンタリーだけど、また観に行きたくなってしまった。

そうそう、それよりも、何と9月3日の東京ジャズフェスティバルに http://www.tokyo-jazz.com/来日するそうなんです!観に行かなくちゃ!

 写真はサッチャル・スタジを訪問した時のリハーサル風景。映画のメンツがそのまんま!
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by umiyuri21 | 2016-08-27 02:09 | 映画

映画WEEKまとめ3 「一粒の麦」

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先月末に映画祭で観た映画の事まとめようと思ったら、インドで力尽きもう1週間経ってしまった。とりあえず最後に心に残ったルーマニア映画「一粒の麦」とそれにまつわるもろもろを書き留めて置きます。


<一粒の麦 あらすじ>
 自動車事故を起こして亡くなった息子の遺体を引き取りに、ルーマニアに向かうセルビア人の父、身売りされコソボで売春を強要されている娘を捜しに行くルーマニア人の父、二人はドナウ川の国境ですれ違う。祖先がオーストリアからこの地に移住したという渡し船の船頭が、この付近に伝わる幽霊教会の伝説を語りはじめる。それは正教会の建設が禁止されていた時代に、古い木造の教会を村に移築しようと奮闘する、ルーマニア人農民の物語。3つの悲劇的な物語がドナウ川の上で重なり合う。
 
c0010791_21272395.jpg 映像も美しく、所々はバルカンの映画らしいコミカルな色合で語られてはいるものの、全体的にはものすご〜く重い話で見終わってどっと疲れたというのが、まずは正直な感想。何しろ登場人物だって嘆き悲しんでる人か悪者ばっかりで、救いようが全然ないし、後味悪いのなんのって。カタルシスばっちりのインド映画に慣れてしまうと、こういうヨーロッパのどん詰まり感漂う映画って、本当つらくなってしまうんですよね・・
 とはいうものの、あまりの暗さに映画全体に漂う陰鬱さの正体をつきとめたくなり、
ふとバルカンの歴史をおさらいしてみることに。アマゾンで検索して見つけた「バルカンの亡霊たち」(ロバート・D・カプラン著/NTT出版)という本が面白そうだったので図書館に借りに行く。

 
c0010791_21275359.jpg これはジャーナリストである著者が80年代から90年初頭にかけてバルカン諸国を旅した旅行記なのだけど、単なる旅行記に留まらず、その風土や歴史を語りながら、それぞれの民族が抱え込む精神性を浮き彫りにした予想以上に面白い本で、最近読んだ旅行記の中でもかなりのヒット作でした。
 読み進めているうちに、映画の中の世界観が急にリアルに見えてきて、これは単なるペシミスティックな映画じゃなく物語の中に様々な歴史的なメタファーが隠されていたのだなあ、と気がつく。後味は悪い映画だったけど、確実に心に「何か」が残ったことは確かなので、強度が高い作品だったんだなあ。
 
という訳で思いがけず、もやもやしていたバルカンの国々のイメージが急に生き生きしてきたこの1週間。やっぱりいつかは行ってみたい。

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by umiyuri21 | 2010-11-03 21:29 | 映画

映画WEEKまとめ2 「Raavan」

「デリー6」の中では、ダシャラー祭の時期に上演される、「ラームリーラー」と呼ばれる「ラーマーヤナ」の野外劇のシーンが効果的に使われていました。魔王ラーヴァンがシーター姫をさらってラーマ王子が助けにいくという有名なストーリーですが、映画の中ではこの魔王ラーヴァンが「黒い猿」と重ね合わせられ、人々の心に住む魔のシンボルとして描かれておりました。
さて、東京国際映画祭で上演された「Raavan」は奇しくもこのラーマーヤナのストーリーをラーヴァン側の視点から描いたというもの。「ディル・セ〜心から」や「ボンベイ」で日本公開もされているマニ・ラトナム監督の作品です。主演は「デリー6」と同じアビシェーク・バッチャンとその奥様であるアイシュワーリヤ・ラーイ・バッチャン。音楽はまたまたA.R.ラフマーン。

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<あらすじ> 
 警察官のデーヴは美しい妻と共に、森林地帯のラル・マーティーで新しい仕事に就く。その街は警察よりも反政府ゲリラの頭領ビーラー権力を握る世界。早速デーヴは彼らの撲滅を目指して奇襲攻撃をかけるが、ビーラはその復讐として妻のラーギニーを誘拐する。しかしビーラを畏れないラーギニーの毅然とした態度にビーラーは彼女の殺害を思いとどまり、次第に特別な感情を抱くようになる・・・
 
c0010791_2021320.jpg 魔王ラーヴァン側を主役に据えるストーリーということで、もちろん最後は死んじゃうらしいし、暗い話っぽいからどうなんだろう・・と思っていたのですが・・どうしてどうして、予想に反してこちらも気合いの入った素晴らしい作品でした。深い森林地帯の湿った自然描写の見事さ、誘拐され地を這いずり回って泥だらけになるアイシュワーリヤー・ラーイの美しさ....。前半は傷だらけになって叫びわめくアイシュがひたすら映るだけで、ボリウッドらしい起伏には欠けるのですが、二人の緊迫した感情が泥や水や緑や岩といった自然の描写の中に上手く表現されていて、ぐぐっと引き込まれてしまいました。
 
 こちらもインドでの評判は芳しくないらしいのですが、娯楽作品じゃないからかなあ。とはいえ芸術作品とするには、唐突に歌と踊りが出てくるし、まあどっちつかずといえばそうなのだけど、そのどっちとも取れるあたりがインド映画独特な感じでいいと思う。
 アビシェークの演技もちょっとぎこちなく感じさせる箇所はあったものの、かなり熱演していたし、最後のシーンは圧巻でした。ラフマーンの歌がまた泣かせる歌詞でウルウルモード。(今回はラフマーンとアビシェークに泣かされた・・)

 
c0010791_20212998.jpg 終了後夫が「地獄の黙示録に似たシーンが一杯あったよね〜」と一言。確かに白塗りだったり鬱蒼とした川の中をボートで進んだり、地獄の黙示録を彷彿とさせるシーンが沢山あった。そういえばビーラのキャラもかなりカーツ大佐を意識しているような。「ラーマーヤナ」を「地獄の黙示録」に重ねてインド的手法で語る、と見るとまた違った印象を受けるかも。
 一方視点を土まみれのヒロインに写せば、森の中の死の世界へ連れ去られ、悪魔と恐れていた相手に愛情を感じることによって成長し、再び地上へ戻ってくるという死と再生のお伽噺なメタファーも感じたりして。単純なストーリーの中にも多層的な広がりを持つシーンが多々あって、なかなか余韻の残る映画でした。

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by umiyuri21 | 2010-10-28 20:23 | 映画

映画WEEKのまとめ1「Delhi6」

 東京国際映画祭はじめ、映画祭の重なる10月は映画シーズン、今回観たのは全部で5本でした。防備録的に感想まとめてみます。

 直前に知らされたNHKアジアフィルムフェスティバルでの「Delhi6」上映。この映画祭に足を運ぶのははじめてでした。なんと入場料は500円で、しかもあまり知られていないのか、それほど混んでない・・・これは来年も要チェック!

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<あらすじ>
 生まれ故郷で死にたいという祖母の願いをかなえるために付き添いでやってきた、ニューヨーク生まれのインド人ローシャン。はじめて見るオールドデリーの風景、そして親戚のように自分たちに接してくれる近所の人々の人情に魅了される。
ちょうどその頃、巷は謎の怪物「黒い猿」の噂で持ちきり。見えないものへの恐怖から人々は理性を失い、街の調和が崩れはじめる。そして「外国人」のローシャンも思いがけない形でそれに巻き込まれてゆく・・



c0010791_2024359.jpg この映画、大好きです。英語字幕のDVDで一通り見ていたけど、大画面&日本語字幕で見られて感動もひとしお。
 とにかくA.R.ラフマーンの音楽が素晴らしい。「スラムドッグ・ミリオネア」でアカデミー作曲賞を取って一躍世界中で有名になったラフマーン、最近は大作風の重厚な雰囲気の音楽が多い気がしていたのだけど、「デリー6」のサントラはここ数年のラフマーン作品の中でも軽やかさと瑞々しさが光る傑作揃い。その音楽とオールドデリーの活気溢れるエネルギッシュな映像が重なり、それはもう見ているだけでデリー旅行している気分。特に英語字幕だと分かりにくかった歌詞の意味が、日本語だとすっと心に入ってきてなんとも染みるのです。

  

 c0010791_2031071.jpgそして下町の人情ドラマよろしく、登場人物もみんななんとも味がある。インドを知ってる人ならクスリとさせられる、いかにもインド的で多彩なキャラクター。悪徳警官や近所の憩いの場になってる茶屋のムスリムアニキ、ヒンドゥー原理主義者の町会議員、怪しい行者、恍惚のファキール、指定カーストのお姉さん、強欲金貸しのおっさん等々。こうした人々の織りなすサイドストーリーがメインストーリーと絡まってふくらみと味わいを出しているのですよね。上映時間の長いインド映画ならではの魅力だと思う。あと、ヒロインのソーナム・カプールの着ている衣装がどれも可愛らしくてこれも高ポイント。

 
 インドではそれほど受けなかったらしいのだけど、ニューヨーク生まれのインド人という「外国人」の目を通してデリーの下町風景を写しだしているので、かえってインド人には日常的すぎて夢がないのかな。しかし、その分インド好きの外国人には最高の作品です。

 あまりに素晴らしかったのでつい2回観に行ってしまいました・・
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by umiyuri21 | 2010-10-28 20:04 | 映画

「ベンダ・ビリリ! もうひとつのキンサシャの奇跡」

 先日「ベンダ・ビリリ! もうひとつのキンサシャの奇跡」というドキュメンタリー映画を観てきました。映画の主人公は10月に来日公演を果たす、コンゴのグループ「Staff Benda Bilili (スタッフ・ベンダ・ビリリ)」。このグループはなんと主要メンバーのほとんどが幼少時にポリオの予防接種を受けられなかった為に、下半身不随になってしまった障害者の人々。
 普段は極貧の路上生活暮らし、段ボールの上で眠り、レストランの入り口に坐り外国人観光客からお金を稼いでいた彼らを、偶然フランス人の映像作家が発見、そのパワフルな音楽性に心底惚れ込んでしまい、CDの制作を約束。紆余曲折しつつも5年がかりでアルバムを完成させ、さらにヨーロッパ・ツアーまで行って大成功を収めるまでの一部始終を丁寧に映像に収めた作品です。
 なんといっても彼らの生活ぶりがスゴイ。半身不随な上に路上生活、そんな中でストリートチルドレンの親代わりになって面倒を見、動物園でバンドの練習をし、自分たちの成功を信じて逆境でも陽気さを失わないタフさとパワフルさ。そしてキンシャサの路上生活からいきなりのヨーロッパ・ツアー大成功!という逆転ホームランぶり。
 まさにお伽噺みたいなアフリカン・ドリーム。ちょっと「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」を思い出してしまうけど、「ブエナ〜」に比べてどん底ぶりが半端じゃない。
たまたま監督が出会ったロジェという少年をバンドのメンバーに迎え、5年後には立派な青年として、バンドの主要メンバーとなって活躍している様子も描かれている。とにかく映像のリアルぶりに心を打たれます。
 キンシャサの街自体も道がぼこぼこで、インドなんか全然目じゃないくらいな有様。こんな所からとうとう日本まで来ちゃうんだな〜、とつい目頭が熱くならずにはいられません。来日公演、かなり楽しみになってしまいました。映画は9月公開、来日公演は10月です!


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by umiyuri21 | 2010-07-25 22:08 | 映画

映画WEEK

 最近すっかり、映画館に足を運ばなくなってしまった気がするが、映画祭の重なるこの時期は、私にとって年に一度の映画WEEK。インド〜中東の映画が日本語字幕付き見られる数少ない機会だものね。
 先週は、ファティ・アキン監督の「Soul Kitchen」、昨日はインド映画の「Luck By Chance(チャンスをつかめ)」そして今日はトルコ映画「Gürnşi Gördüm(私は太陽を見た」を見てきました。
 
c0010791_1822617.jpg 「Soul Kitchen」は
ギリシャ人が経営する、ハンブルグのレストランを舞台にした、ヨーロッパ映画の手法で描いた、アジアチックな人情映画。これは文句なく楽しめて後味HAPPY。役者のキャラも立ってるし、太陽に恋しての続編みたいなお伽噺的なストーリー運びも軽快。
 ファティ・アキンならではの、パンキッシュな過激さも随所に盛り込まれていて、ニヤリとしたり、ほろりとしたり。

 
c0010791_18225521.jpg 「Luck By Chance(チャンスをつかめ)」は「Om Shanti Om 」以来の流行なのか映画界が舞台スターを目指す若者の青春ドラマ。映画の舞台裏や大スターが次々カメオ出演するのが見もの。もちろん歌あり踊りあり、ボリウッド・ファンならくすっと笑えるエピソードやユーモアが盛り込まれ、画面作りもお金かかってるし、飽きずにエンジョイできました。が、見終わってからちょっとストーリーの荒さが不満に残る映画ではありました。
 一応映画のメッセージであるらしい、人間は運と努力で誰でもチャンスが掴める、自分らしい生き方を見つけることができる、って部分が非常にぼやけていた気が。見終わったら、チャンスをつかめとは言うけれど、才能のある人、運のある人は初めから定められてる、みたいな極めてインド的な考えから抜け出ていなかったような。だいたい作ってる人間も映画界の二世だし。
 しかしボリウッドも見る度にイケイケ感がアップしてるなあ〜。インド映画=いなたいというイメージはすでに遙か遠く。この映画自体が、かつてのインド映画のいなたさを、パロディにしているくらいだもの。

 
c0010791_18234333.jpg そして、今日見てきた「Gürnşi Gördüm(私は太陽を見た」(これ、確か今年の春トルコに行ったときに公開してた気がする)いや〜重かった、ずっしり来ました。一人で居るとなんだか暗くなってくるので、ブログを書こうと思い立ったくらいで。トルコならではのぐしょ〜っと湿った、絶叫男泣き映画(笑)昨日のインド映画とは好対照。
 ストーリーは、内戦により、村を追われたクルド人家族の物語。非常に政治的なお話ですが、トルコ人好み(?)の悲劇のオンパレード。家族にこれでもか、これでもかと悲劇が襲い、その度に髭面の濃いオヤジが涙にむせび泣く。バックには切々としたクルド民謡のメロディー。ちょっとちょっと、もう少し希望を持たせてくれてもいいんじゃないの〜?と言いたくなりましたが、本当国によって美意識というのは様々なんだなあと。
 でも、見終わってしみじみ振り返ると、クルド問題だけではない、トルコが抱える様々な問題が、ストーリーの中に多彩に盛り込まれていて、色々と考えさせられました。実はかなり良くできた映画なのではないかと思います。ホント、重い話を重〜く描いてる映画ですけど。

 
 週末はもう一本インド映画「Road,Movie」見てきます。
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by umiyuri21 | 2009-10-21 18:24 | 映画

戦場でワルツを

 
 7月7日の七夕に「戦場でワルツを」というイスラエル映画を見に行った。
今年のアカデミー賞の外国語部門にノミネートされていた作品だ。これはアニメーションで描かれたドキュメンタリーという一風変わった手法で、1982年のレバノン侵攻の際に19歳で従軍した、監督自身の経験を元に作られている。
 主人公=監督は当時の記憶をほとんど失っており、その失われた記憶を取り戻すべく、かつての戦友達を尋ね歩き、当時の様子を聞きながら、少しづつ記憶をよみがえらせてゆく。ぼんやりと脳裏によみがえってくる、戦争の記憶がアニメーションで実に効果的に描かれている。低予算なのか、アニメーションの動きはやや荒いけど、日本のアニメションとは全く違った美意識がとても新鮮だった。
 ひりつくような暴力の感触と、突然戦地に放り込まれた少年兵達が出会う、戦地の様子がまるで地獄の辺土をさまよい歩く悪夢のように、印象的に胸に迫ってくる。どこかふわふわ空を漂っているような映像と音楽が、かえって戦争の狂気を上手くあぶり出しているように感じて、何度も鳥肌がたった。
 この作品は10月日本公開とのこと、決して明るい映画ではないけど、気になる方は是非。
 
 
c0010791_0564917.jpgちょうど、数年前に、これと全く逆の立場、ベイルートの若者が当時の戦争に遭遇する物語を描いた「West Beirut (西ベイルート)」という映画を見たことを思い出した。
 それまで、レバノンといってもエジプトやシリアと同じような、自分とはかけ離れた、乾いた遠くの国とぼんやり思っていただけだったのに、そこに描かれた主人公は私とほぼ同世代、似たような音楽を聴き、感覚も自分と変わらない。そういう生活を送っている人間が、ある日突然に、戦争の日常に巻き込まれてゆく。その日常の変化があまりにリアルで、深く衝撃を受け、レバノンと自分との距離が一気に縮まり、いつか一度行ってみたい!と思うようになった。(そして、実際翌年には足を運んだのだった。)
 この「戦場でワルツ」の中の主人公も、飛行機で数十分戦地を離れれば、何も変わらない先進国の日常が待っている。その不条理感をPILの音楽が上手く表現していた。
 
 土地には何故か強度というものがある。ほとんど人の住まない、誰も顧みない不毛の土地、何千年も人々が奪い合うようにして、神殿を築き、都を建て、血を流し続けてきた土地。そこに住む人々が背負ってきた記憶の重さを考えると、想像を絶していて、目眩がしそうになる。
 それだけ磁力の強い土地で生きるって、一体どんなことなのだろうと。

 七夕の満月の静けさが、映画のイメージと重なって、しばし不思議な気分で過ごす。
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by umiyuri21 | 2009-07-09 01:00 | 映画

祝 A.Rラフマン、アカデミー賞受賞!

「スラムドッグ$ミリオネア」アカデミー賞8部門制覇しましたねえ。
そのうちA.Rラフマンが作曲賞、歌曲賞を受賞しました。彼の曲のファンとしてはうれしい限り。A.Rラフマンと言えば「ムトゥ、踊るマハラジャ」のサントラの作曲者でもありますが、本当に多作な人で、実に様々な映画の為に曲を書いています。多作なだけに外れもあるけど、良い曲は本当に心打たれます!
 というわけで、彼のお気に入り曲をyoutubeで見直していたら、「あ〜やっぱりいい曲だ〜」と映像もあいまって胸がきゅんとしてしまいました。皆さんにもこの感動を是非シェアしたく、お気に入り3曲貼り付けておきますね!
 
 まずは映画「Taal」より「Ishq bina」1999年の作品です。女性ボーカルがキュートで瑞々しい。
 ヒロインのアイシュ・ワーリヤ・ラーイがまだ若くて、ふっくらした顔ですね。目が吸い込まれそう。!ヒーロー役のアクシャイ・カンナも髪がある!(笑)コカコーラをめぐる間接キッスなエピソードも微笑ましいですねえ。こういうの最近のボリウッドでも少なくなりました。


 
 次は映画「Bombay」より「Uyire Uyire」
 これは1995年のマニ・ラトナム監督の作品ですが、今見ても全然古さを感じさせない。大抵ボリウッド映画って90年代のはダサくて見られないのも多いんですが、この映像は本当にきれい。雨に濡れた緑色の大地と荒い波、風にはためく衣装の青い色が映えて、ロマンチックで切ないメロディーが気分を盛り上げます。宗教の違いを超えて男女が逢い引きするシーンなんですが、ヒロインのせっぱ詰まった決意が伝わってくるような映像が大好きなんです。(ま、この丸顔、ポロシャツのヒーローはどうなんだ!と思うけど、タミル映画なのでご愛敬)
 男女が逢い引きするだけのシーンをここまで盛り上げるなんて、これこそインド映画の醍醐味ですね。この作品は確か日本語字幕付きでビデオになってたはず、探してみて!
  


 映画「Meenaxi~Tale of 3 citis」より「Noor un Ala Noor」
2004年の作品。この映画事自体はほぼ自主制作的に作られ、あまりヒットはしなかったのですが、音楽が素晴らしいのです。私のお気に入りはこの曲。ラフマンはカウワーリー・スタイルの秀作をいくつか作曲しています。最近の「Jodhaa Akbar」
の「Khwaja mere Khwaja」という曲も好きですが(それは サラームのブログで見てね)「Noor un Ala Noor」のなんともスーフィー幻想譚みたいな映像が素敵で見てるとゾクゾクしてしまう。多分低予算なだけに荒い部分も目立つけど、なんだかイマジネーションが広がるんです。



もちろんまだまだラフマンにはいい曲いっぱいあるので、これは氷山の一角。気がついたらいかにもボリウッド〜なアッパー曲じゃないスローでロマンチックな曲ばかり選んでしまった。でも、ボリウッドの奥の深さを感じていただけたのではないかと思います。
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by umiyuri21 | 2009-02-24 23:04 | 映画

スラムドッグ・ミリオネア

c0010791_1859033.jpg一部のインド好きの間で話題沸騰!ダニー・ボイル監督の「スラムドッグ・ミリオネア」の試写会に行ってきました。公式サイト
 
 この映画はインドの現役外交官作家、ヴィカス・スワラップによるベストセラー小説「ぼくと一ルピの神様」を原作にダニーボイルが監督、インドロケ、インド人俳優、インド人作曲家を使って撮られた作品。低予算で無名な俳優(インドでは有名なアニール・カプールとか出てるけど)を起用したこの作品、条件面だけを見ると、あまりヒットしそうになかったものだが、公開されてみると大絶賛。
ゴールデン・グローブ賞4部門受賞、アカデミー賞10部門にノミネートされている。

 とにかく早く見たくて見たくて、試写会の第一日目にしかも1時間前に乗り込み(インドじゃないんだから!)わくわくしながら映画のはじまりを待つ。
ムンバイのスラム街を舞台としているだけに、画面からはエネルギーが立ち上って来るようだけど、口当たりはあくまでクール。メリハリがきいていてスピード感もあり、全く飽きることがない。ストーリーは、原作のやや複雑なプロットをばっさり切り取って、エピソードもかなり変え、ストレートな恋愛物語になっている。
 とにかく、外国人にとってインドとはネタの宝庫なんだなあ、と実感。「トレインスポッティング」で描かれたドラッグ中毒者の世界より、何倍もディープな現実が次々と立ち現れてゆく。ボリウッドの夢の世界ではないこうしたひりひりとした現実を描いたことが、賞を取った理由の一つかもしれないけれど、とはいえ、見終わった後の印象は一言。「これってかっこいいインド映画じゃない!」

 
c0010791_1859412.jpg原作がインド人なんだから、もともとかなりインド的なストーリーだし、インドが舞台でインド人の俳優使って、作曲家はA.Rラフマン。だから「インド映画」になって当然なんだけど、この映画がこんなに絶賛されるなら、ボリウッドにも同じくらい素晴らしい作品がいっぱいあるじゃないの、って声を大にして言いたくなる。この辺はきっとボリウッド・ファンなら同じ感想なんじゃないかしら。
 サラームと二人でやっぱボリウッド好きなのは間違いじゃなかったのね〜!としみじみしました。(笑)

 
c0010791_18594699.jpg公開は4月とのことですが、待ちきれない方は原作ぼくと1ルピーの神様
もかなりおすすめ。ストーリーだけなら、断然原作が読み応えあり。個人的な趣味で言えば、もう少し原作に忠実にして、紆余曲折してコッテリ盛り上がって3時間半、最後大泣きのクライマックスで大カタルシスという、ボリウッド的ヴァージョンも是非見てみたいなあ・・。

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by umiyuri21 | 2009-01-26 19:01 | 映画


旅とヨガとイラストレーション。世界と身体と脳内をめぐる旅。


by 若山ゆりこ

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