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インディアン・ヨガライフ 第2ラウンド~Vol.32 

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「再びヴィレッジ・ライフ」

ティルバンナマライでの最終日、朝起きて荷物を片付けて最後のラフターヨガのクラスに出かける。
 しかし暑い!1週間前は快適に過ごせた屋上スペースも、朝からもわ~と生ぬるい空気。暑くてみんなのテンションも低めかも。インストラクターのメガナンダちゃんとハレルヤババ、そしていつもの常連メンバーに別れを告げ、ティルバンナマライでの再会を誓う。ここで笑った日々も思いがけなく楽しかったなあ、素敵な出会いだった。
 一旦ホテルに戻ってチェックアウトして、お昼を食べにアシュラムの向かいにある南インド料理のレストランに入った。エアコンの効いたインドの中級レストランなのだが、昼のミールスが100ルピーでかなりゴージャスだったので、時折通っていた店だ。中に入ると、ハレルヤババとメガナンダちゃん、その友人が坐ってた。
 「ぴったりのタイミングで、ぴったりの人が現れた。席もちょうどある。」とハレルヤババが笑う。彼らはちょうど6人がけのテーブルに坐っていた。喜んでご一緒させてもらう。これからリシュケシュに向かうという彼らは、向こうの宿や見どころなどの情報交換をしている。リシュケシュはインドでのヨガ修行の中心地なわけで、かなり賑やかになってしまったとはいえ、いつかは行ってみたいなあと思う。
 
 若い頃からヨガや瞑想などのスピリチュアルなプラクティスに目覚め、食事にも気を使っているハレルヤババは、ジョシーの生き様に共感する所が多く、言葉を超えた所で意気投合したみたいだった。彼らはいつかジョシーの家を訪ねたいって言ってたけど、実現したら楽しそう。
 食事後、彼らに再び別れを告げ、最後にアシュラムへ向かった。
 午後のアシュラムは、熱気を含んだ空気に包まれていて、お腹が一杯なこともあり、なかなか瞑想モードには入れない。それでも、ただサマディーホールに坐って、静かに時間を過ごす。
 Aさんとも最後に顔を合わせる事ができた。
「私も今回はいつもと違った感じの滞在で楽しかったですよ、あなた達はちょっと変わった雰囲気だから。私も何となく、そろそろ卒業ですとバガヴァーンに言われたみたいです。」と笑った。

 いよいよアシュラムを出て、オートに乗り、バスターミナルへ着く。ヴェロール行きのローカルバスに乗り込むと、あっという間に車はティルバンナマライを離れていく。さよなら、アルナーチャラ再び会いましょう。

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 ヴェロールまでは難なく着いたが、そこから長距離バスに乗るのが大変だった。もらったチケットにはバスターミナルの近くのビルの名前が書いてあるだけで、乗り場の住所も何も記述がない。それでもジョシー先生がタミル語が話せるので、人々は親切にあっちの方だ、こっちの方だ、と教えてくれる。
 しかし師匠は多言語を操れるがゆえに、疲れると切り替えが上手くいかなくなるらしく、私にタミル語で話しかけて、相手に日本語で話しかけてみたりだんだん漫才みたいになってくる。「ジョシーさん今日本語になってる、タミル語で話して!!」と私が頼んでも自分が何語で話しているか意識できないみたい。まあ、普段は英語とマラーヤラム語で考え、私とは日本語で会話し、それにタミル語が加わるとさすがに混乱してくるんだろうなあ。話す相手を間違えても、ちゃんと言葉のスイッチングが出来るのは凄いと思うけど。
 
 結構ウロウロ歩きまわり、オートが乗り場まで乗せて行ってくれると言っても、料金交渉で決裂し、1時間ぐらい探しまわって、やっとバス乗り場まで辿り着いた。うん、これでもう次回は大丈夫だ、と心の中でもう次に来る時の事を考えていた。
 午後9時過ぎに、1時間遅れで現れたバスに乗り込むと、車は一路ケーララへ向かう。翌朝には、窓の外は見慣れた椰子と緑のジャングルが続く風景に変わっていた。
 お昼前にチャンガナチェリーに着き、行きつけのレストランでドーサを食して、ーーとに乗ってノース・ヴェリヤナード村の家に到着した。1ヶ月半ぶりにこの家に戻って来たのだった。
 
 弟はまだ家にいて、何事もなかったかのように我々を迎え入れてくれた。少しは反省したのか、我を忘れるほど深酒している気配はなさそう。 
 インドでの時間は残す所あと2週間。ケーララでのヴィレッジ・ライフが再び始まった。時は3月半ば、乾燥&灼熱のタミル・ナードゥとは違って、ケーララはとにかく蒸し暑い。ちょっと動くだけで汗だくだ。長い間雨が降っていないので、井戸の水も茶色に濁り始めていた。水のフィルターの掃除を頼まねばなるまい。去年もこんな感じで、茶色い水で洗濯し続けていたので、洗濯物がみんなくすんだ色になっちゃったんだよなあ。
 結局2週間、全くアーサナをやっていなかった。久々にヨガのレッスンを再開するとすっかり身体が硬くなっている。「姿勢も悪くなってる、せっかく教えたのにちゃんとやってないじゃないか!」とジョシー先生にダメ出し。ああ、ヨガの道は厳しいなあ。

 荷物を置きっぱなしにしているプラデープの家にも連絡をした。彼もハリドワールへの旅を終えて、モンコンプに戻って来ていた。
「何度か家に連絡したけど、留守だったからどうしたかと思ったよ。今ゲストが沢山来ているんだけど、良かったら遊びにおいでよ。」
翌日早速出かけてみると、ムンバイからトリートメントを受けに来たビジネスマンの父と息子。ラージさんの友人でカルカッタで、ハイアット・ホテルのヘッド・マネージャーをしているというキャリア・ウーマンな女性とその2人の子供とそのお母さん、と随分賑やかだ。
 友人からの紹介で、プラデープにアーユルヴェーダのトリートメントとヨガのレッスンを受けに来たというムンバイっ子のアシシュとプラデープはまたもや白熱したインド哲学談議を繰り広げていた。
 私が絵を描いていて、ムンバイにも何度か行ったことがあると知ると、おもむろに
「ムンバイを絵で表現するとどんな風に描く?」と尋ねられた。
「う~ん、アンバサダーのタクシーとかジュフ・ビーチの屋台とかボリウッドの看板とか、そういう物を描くかなあ。」とありきたりの答えをすると。
「僕は、ムンバイはエクストリームな女性として表現したいんだ。彼女は混乱を抱えている...」といきなり難しいことを語りだした。おお、こういう所がインド人ぽいよねえ。

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 ホテル業界で長いこと働いているという、ソーハナさんはボブカットで、タンクトップ姿に腕にはタトゥーが入っている。インド人女性の中でもかなり現代的な雰囲気。小さな子ども二人と足の悪い年老いたお母さん、4人を引き連れカルカッタからまる2日列車に乗ってここまで遊びにやって来た。子供が生まれる前は海外へ一人旅も結構していたんだとか。
「ぼちぼちカルカッタにも飽きたから、次はカナダあたりで働きたいのよ。」と語る、タフな女性だ。

 彼らと話していると、あっという間に時間が過ぎ、ぼちぼちお暇しようかと考えていると、空が急に暗くなってきた。雨が来そうだ。雷がゴロゴロと響き始めて、いきなりすごい豪雨になってしまった。
 プラデープとアシシュは喜び勇んで、庭先へ飛び出し雨のシャワーを気持ちよさそうに浴びる。嫌がるラージさんを引っ張って行って、水が激しくしたたり落ちる軒下へ連れて行ったり、大騒ぎだ。なんだかボリウッドのワンシーンを見ているみたい。
ぼんやり、眺めていると「雨をエンジョイしないの?」って言われた。そっかあ、雨をエンジョイねえ。さすがに着替え持ってきてないしなあ。

 かなり強い雨がしばらく振り続け、やがて小ぶりになった頃、散歩に出かけたままのアディティのお父さんが「いやいや何てこった」と帰ってきた。
「何度も電話したけど、誰も出ないじゃないか」といかにも生真面目なビジネスマンといった雰囲気の彼はちょっとムッとしている。そりゃそうだ、みんな雨の中大騒ぎしていたんだもの。
 アレッピーのビーチへ出かけていたソーハナさんも、「ひどい目に遭ったわ~」と言って戻ってきた。「ちょうど船に乗せてもらってる所で雨が降ってきて、めちゃくちゃ怖かったわよ。」

 いつもの例に漏れず、雨のせいで停電になってしまった。すると、アシシュが小さなスピーカーを持ってきて、ブルートゥールスでiphoneにつないで爆音で音楽をかけ始めた。やることがないので、部屋にみんな集まって、ダンス大会となる。
「あなたも、何かいい曲持ってない?」と聞かれたので、ボリウッドを何曲か選んでかけると「ボリウッドじゃなくて、トランスとかヒップホップないの!」と言われてしまった...
 ファンの効かない、薄暗く蒸し暑い部屋の中で、みんなで踊っていると、インド人ってどんな時も臨機応変に楽しめる人たちなんだなあと、感心してしまう。その瞬間に起こる事と一緒にダンスをし、エンジョイできる人たちなんだなあ、と。 
 だから私はインドに何度も来てしまうのかもしれないな。

 電気が来て灯りが点き、ファンが回り始めるとみんな大喜びでそれぞれの部屋に戻り、ダンス大会はお開きになった。私達も今夜も泊まっていくしかなさそうだ。
 久しぶりにラージさんが作るおかゆの夕食をいただいた。そうそう、このおかゆがずっと食べたかったんだよねえ。
 
 翌朝、オートにトランクを乗せてプラデープの家を後にした。帰国するまでにまた遊びに来るね、と告げて。やれやれ、長いことあっちに行ったり、こっちに行ったりしていた私の荷物、ようやく一箇所に集まった。
 こんな風にして、ケーララでの残りの時間がゆっくり過ぎてゆくだろうと思っていた。ところが最後のひと山、さらなる展開が私を待っていた。
 
# by umiyuri21 | 2014-07-23 22:03 | ヨガ滞在記

インディアン・ヨガライフ 第2ラウンド~Vol.31 バック・トゥ・ケーララ

「この星の中で人間だけが2本の足で立っている。2本の足で頭を上にして、ウロウロ歩いてあれをやろうこれをやろうと、無駄なエネルギーを使っている。だからこそ人間は坐って瞑想する必要があるんだよ。」(ジョシー)

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 聖山アルナーチャラの周囲13.5キロを巡礼して歩くことを、ギリプラダクシナといい、願望成就と厄落としの効果があるらしい。ラマナ・マハルシも元気な頃は毎日のように、この丘の周りを歩いていたという。特に満月の夜には、インド中から巡礼者が集い、道には屋台が並びお祭りのような賑いを見せていた。
 3月の満月は北インドではホーリーに当たり、暑さが本格的に訪れる季節でもある。長期滞在の旅人たちもこの満月を堺に、涼しいリシュケシュやダラムサラへと移動していくらしい。
 いつの間にか、私のインドでの日々も残り2週間近くになっていた。名残惜しいがぼちぼちケーララに帰らねばならない。酒飲みの弟は相変わらず、ノース・ヴェリヤナードの家に居るようだが、随分と長く家出をしているちに、もう帰ってもいいかな、と思えてきた。ジョシーも同じ気持らしく「家に帰ろうか。」と言い出した。
 ティルバンナマライにいる間はアーサナが全く出来なかったので、身体が硬くなっていた。帰国する前に色々おさらいして、体調も整えておきたい。お土産も買わなければ。

 ということで、帰りのバスチケットを探しに行く。夜行バスを扱っている代理店は意外と少なく、何件か回って行きと同じバスのチケットを見つけて、2日後の予約を取った。現地の携帯電話がないとチケットが予約できないと言われが、持ってないと頑張ると、店の人が自分の携帯で予約してくれた。ホッと一安心、だがバスに乗る場所が今ひとつ分からないのが不安だ。分からなきゃ携帯で聞いてくれよってことなんだろうけど。
 いよいよティルバンナマライともお別れ、通いつめたラマナ・アシュラムでの時間もあとわずかだ。
 夕方アシュラムに出かけると、Aさんが私達を待っていた。「待ってたんですよ、何となくもう一回ヒーリングしたほうがいいと思ったんです。ちょっと無理したんじゃないかしら?」
「そうなんです。実は、ビルパクシャ洞窟に行ったのがちょっと大変だったみたいで、あの後お腹を壊しちゃったんですよね。」
「まあ、この場所は何かと浄化作用がありますからねえ。無理するのはいいんですよ。でもその分ケアしてあげないと...。」
 
 師匠の足の傷は治りそうで、今一歩の所で治りきらない。ここ数日はの乾燥気候にやられてまた足の皮がゴワゴワしかけていたのだった。持参してきたオイルを塗った方がいいのでは、と言ってみるものの、シーツに付くからとか何とかと面倒くさがって、つい後回しにしてしまう。 
「ちゃんとオイルを塗ってケアしてあげて下さいね。身体は物質ですから、物質のケアは物質でしないとダメなんですよ。その辺、あまり構わなかった所があったと思うんですが、もう少し身体に対して優しい道を選んだ方が良いんじゃないかしら。それだけ言っておきたかったんです。」
「きっと、すごくご自分に厳しくて、妥協しない所がありますよね。それはスタート地点としてはとても素晴らしいのですが、まっすぐやりすぎて衝突してしまうこともありましたよね、これからは、そこを気をつけてやって下さいね。」
 と、またまた鋭すぎるご指摘、ジョシー先生完全に読まれてるじゃん!今回の傷だってヨガの力で何とかする!ってずっと頑張ってたけど。プラデープにダーラをやってもらって劇的に回復した訳だし....

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 私は先日彼女に言われた事で、ずっと心に残っていた疑問を、思い切って口に出してみた。
「先日、お金や効率を主体にしているのとは、別な世界があるとおっしゃってましたよね。それは分かっていますが、いざ東京に戻ればまた今まで通りのお金や効率を主体とした世界があるわけで、その折り合いはどうつけていったらいいのでしょうか?」
「あなたがどう折り合いをつけてゆくか、色々試行錯誤しながら答えを出してゆく、そのプロセスが学びだと思えばいいじゃないですか。何度も言うようだけど、焦る必要はないんですよ、神様は気長に待っててくれますからね。」
 そうなんだなあ、何事もバランスが大事なんだ。精神と物質。生きるにはどっちも大切だ。人間はつい、片方が大切だと思い始めると、もう片方を蔑ろにしてしまいがちだ。スピリチュアルが大切だと言えば、マテリアリストは自分を否定されたように感じて反発するし、その逆もしかり。でも、本当はバランスなのだよね。自分で一番しっくりするバランスどころを見つけてゆく、どこかにたどり着くのが目的なのではなく、そのプロセスそのものが人生なのかもしれない。
 今回はAさんに本当に色々深いお言葉をいただいた。不思議な出会いに感謝し、いつかアシュラムか日本で再会できることを願って、お礼とお別れを言う。

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毎夕方、サマーディーホールで行われるチャンティングにも最後に参加する。明日の今頃はちょうどヴェロールでケーララ行きの夜行バスを待っていることだろう。
 ここで歌われるレパートリーの中でもとりわけ印象的だったのは「アルナーチャラ・アクシャラ・マナ・マリ」という歌であった。ラマナ・マハリシがアルナーチャラへの熱烈な思いを込めた讃歌なのだが、タミル語歌詞の部分は全く分からないなりにも、各詩節の最後に何度もリフレインされる「アルナーチャラ・シヴァ、アルナーチャラ・シヴァ」というフレーズが何とも不思議に胸に刺さるのだった。
 ホールに集まった人々と共に「アルナーチャラ・シヴァ」と大合唱していると、始めてこの場所に足を踏み入れた時の感動が蘇ってきて、つい涙ぐんでしまう。
 ここにはまた必ず来なければ、と心に誓い、どうかまた呼んで下さいね、とマハルシの墓石に祈った。 

ただ、今に心を留めて、ここに根を下ろして静かに坐ること。それがどんなにパワフルな事であるか、私はこの場所で始めて実感できた気がする。
 そう、私は何処へも行く必要がないのだ。今ここ以外に私の行くべき場所はない。地球の何処を探してもなく、過去にも未来にもそれはない。それがマハルシのエネルギーが沈黙を通して私に伝えてくれた事だった。
 私はジョシーにそう気がついたと、話してみた。
「そうだよ、それを言っても理解できない人も多いんだけど。でもあなたは、今日分かったはず。少し静かに坐っていた。」
 と、珍しく褒めてくれた。

 明日はいよいよバック・トゥ・ケーララ!
# by umiyuri21 | 2014-07-22 22:19 | ヨガ滞在記

恵比寿でヨガレッスンがスタートします♬

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Belly Dancer Nourahさんの主催するスタジオ、Ruhani Belly Dance Artsにてヨガレッスンをスタートすることになりました。毎週木曜日、7月3日より始まります。料金はドロップイン2,500円、月謝は月4回で9,000円となります。どうぞよろしく!!
ヨガマットはご持参下さいませ。

木曜日:10:15-11:15 ベーシック・ヨガ by 若山ゆりこ 
Ruhani Bellydance Arts @恵比寿本校

 若山ゆりこ

 イラストレーターとして、書籍や雑誌で活動する傍ら、2000年頃からヨガやベリーダンスを学び続ける。  
 2012年に南インド出身のヨギ、ジョシー・ヴァリチェリー氏に出会ったことで、ヨガに深く傾倒する。2012年~2014年の間、延べ9ヶ月に渡り、南インドケーララ州の氏の実家に住み込み、教室の中だけでは伝わらない、ヨガ的な生活ありかた、哲学などを直に学ぶ。  
 著作に「ガールズ・インディア〜女子の為の極楽インド紀行」(河出書房新社)「はじめてのイスタンブール」(P-vineブックス)「スウィート・モロッコ」(辰巳出版)  
 中近東〜インドにかけての音楽や舞踊、精神文化等について深く興味を持ち、現地を足繁く旅している。

 ヨガとはサンスクリット語で「繋ぐ」「結びつける」という意味。日常生活の中で見失いがちな心と身体のつながりを、ベーシックなアーサナや、呼吸法などによってゆっくりと見つめなおしていきます。また、ヨガの歴史や哲学、身体論などのレクチャー的要素も取り入れて行きたいと思います。  
 
 ヨガが誘う、自分の内側に還る静かな時間と空間を、どうぞ共にシェアいたしましょう。

Webサイト: http://www.umiyuri.com/
ケーララヨガ滞在記:「インディアン・ヨガライフ」ブログにて連載中 http://umiyuri21.exblog.jp/20183585/
# by umiyuri21 | 2014-07-01 13:37 | ヨガ

インディアン・ヨガライフ 第2ラウンド〜Vol.30 

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「笑うヨガ!」

  ジョシー先生がお腹を壊してしまったので、体調が落ち着くまでもう少しここに居たほうが良さそうだ。そんな訳で、さらにティルバンナマライの滞在が延びてしまった。「まあまあ、もう少しゆっくりしていきなさいよ。」とアルナーチャラのシヴァ神が言ってくれたのかもしれないが。
 
 一週間以上の滞在になるのなら、キッチン付きの部屋でも借りればよかったな。アシュラムの向かいには外国人向けのスーパーが2件ほどあって、そこには何とオーガニックの穀物類やスパイスなどがずらっと並んでいた。ケーララであんなに探した、オーガニックのオートミールもあるではないか!
 いやあ、ここで暮らしたら、ノース・ヴェリヤナード村よりもずっと快適な暮らしができそう。聞けば部屋代もそれほど高くはないらしい。シーズン前に来れば一軒家を借りても一月5,000ルピー(1万円弱)くらいだとか。ヨガの出来る広さの家でも借りれば、数ヶ月くらいあっという間に過ぎてしまいそうだ。

 せめて残りの僅かな日でも、キッチン付きの部屋を探してみようかと、ある日いつもとは反対方向に歩いてみることにした。少し行くと、緑に囲まれた地中海風の洒落た建物があった。レストランだろうか、気持ち良さそうな空間なので、ちょっと覗いてみよう。
 そこはキリスト教系の団体がやっている「クオ・ヴァディス」という名のレンタルスペースだった。一階がレストランでメニューを見ると、ドーサやポンガルなど南インドの普通の朝食メニューが載っている。値段も安い。
 注文した料理も割合味付けがあっさりしていて、胃にも負担がかからない。なかなか良い店を見つけた!
 そこで一人のアメリカ人の青年に話しかけられた。聞くと1年ほど伊豆で暮らしていた事があるんだとか。日本歴の長いジョシー先生と話が合って、ちょっとおしゃべりした後、「これからこの屋上で、ラフター・ヨガのクラスがあるんだよ。日本人女性がインストラクターなんだ、一緒にどう?」と誘われた。
 
 ラフター・ヨガ、いわゆる笑うヨガというやつである。笑うことと、ヨガの呼吸法を組み合たインド生まれのエクササイズで、身体の柔軟性も何も必要なし。ただ笑うだけ!しかし、自然と呼吸が深くなり、免疫力をアップさせ、血の巡りを活性化させて、元気になる。笑いの効用を最大限に生かしたヨガなのだ。
 以前ジャイプールのホテルで朝のヨガクラスを受けた時、レッスンの最後にかならず笑う時間があった。それが、ラフターヨガの初体験といえばそうなのだが、本格的なクラスは初めてだ。
 「いいんじゃないの?行こうよ。」
 とジョシー先生。じゃあ、ちょっと笑いに行ってみようか。

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 アルナーチャラ山が遠くに見え、鉢植えの植物が美しく飾られた屋上スペースはちょっとモロッコのリヤドのようで素敵な空間だった。クラスはすでに始まっていて、ウクレレの音と歌声、そして笑い声が響いてきた。
 ジョシー先生、ここでいきなり満面の笑顔にモードチェンジ!!笑って踊りながら、人々の輪の中に入ってゆく。おお、すごいな〜やっぱり。このためらいの欠片のなさが、さすがだよ。
 小柄な日本人の女性と、西洋人の男性のカップルがナビゲートしながら、ひたすら笑いまくるこのクラス、思いがけず楽しかった。目を合わせながら笑ったり、おかしな顔をしながら笑ったり、ジベリッシュを使ったり、ひっくり返りながら笑ったり。
そして最後に横たわって呼吸を整えながらリラックスする。
 まあ、とにかく笑うだけなのだが、笑えば笑うほど元気になって。身体の底に溜まっていた疲れや感情のシコリがほぐれてゆく。笑いってほんとうに凄いヒーリングパワーがあるんだなあ。
 ずっと静かに黙って坐っているだけだったので、久々にしゃきっとテンションが上った。これはなかなか、いいではないか。
 
 インストラクターの日本人女性はメガナンダちゃん、としてパートナーの男性はアメリカ人とパレスチナ人のはハーフで、ハレルヤ・ババと名乗っていた。30代半ばくらいだろうか。二人はバンガロールでのラフターヨガのTTCで出会って意気投合し、クラスを開きながら、一緒に旅を続けているらしい。ラフターヨガの先生らしく、笑顔が素敵な、いい感じのカップルであった。メガナンダちゃんが歌を歌い、ハレルヤババが楽器を奏でる。生演奏を効果的に使って、場を上手く盛り上げてくれる。
 クラスに参加している人々も、ドイツやフランス、日本など様々な国籍であったが、お互い目を合わせて大笑いし続けると、自然に心がほぐれて、妙な一体感と親密感が生まれてくる。
 同年代の参加者もいたが、多くは20~30代くらいで、インドのあちこちを旅しているトラベラー達であった。アシュラムで出会う、ひたむきな雰囲気の探求者とは一風違っていて、もっとダウン・トゥ・アースで、いい意味でリラックスしている感じ。
 まあ、ここで笑ってるからリラックスしてきちゃうのかもしれないけど。

 インディアン・ヨガライフ 第2ラウンド〜Vol.30 _c0010791_23333577.jpg何気にこのラフターヨガが気に入ってしまって、アシュラムへ行く前にクラスに顔を出すのが日課になってしまった。
 
 私は思いがけず、ジョシー先生の笑顔パワーにやられてしまった。「やる時は100%きちんとやる。」と言うのが常日頃から口癖の師匠であったが、笑う時も躊躇というものが一切ない。本当はお腹の調子が悪くて、二人きりで居る時はちょっと不機嫌気味だったのにもかからわず。スイッチをカチッとONするように、完全な笑いモードになっちゃうんだから、そこは見習わねば。 

 インストラクターのお二人は別としても、大抵の参加者は笑顔の瞳の奥に、照れくささや、はにかみが見え隠れしていた。そのシャイな笑顔もまた素敵なんだけど、そういうものが全くなく、笑いの中に完全に在りきる姿は、清々しく、場の空気をぐいっと動かす力がある。

 レッスンが終わると、ハレルヤババが「これから満月まで毎日、借りている家の屋上でサンセット・パーティーをやってるんだけど、都合が合えば来て下さい。夕日を見ながら音楽をかけて踊るんだけど...」と言う。
 さすがに、そんなパーティーにはジョシー先生行かないだろうと思いきや、珍しく乗り気で行くというので、ある夕方地図を頼りに出かけてみた。
 ラマナ・アシュラムから歩くと20分ほどの場所にある一軒家のペントハウスを彼は借りていた。部屋はごく質素だけれど、広い屋上スペースからアルナーチャラ山がどかんと見渡せた。
 パーティーというから、音楽をかけながら、おしゃべりしたり、飲み食いしたり、そういう普通のパーティーかと思ったら。さすがにゴアあたりとは違って、この町ではパーティーと言っても、そういうパーティーじゃあなかった。
 OSHOが考案したアクティブ・メーディテーションのひとつ、クンダリーニ・メディテーションをシェアする集いであったのだ。アクティブ・メティテーションとは通常のじっと坐って行う瞑想ではなく、踊ったり身体を動かしたりしながら行う、動きのある瞑想のこと。もともと坐る瞑想の習慣がなく、いつも考え過ぎの傾向にある現代人の為に作られたメソッドである。
 
 クンダリーニ・メディテーションとは日没時に行うのが最適とされ、「身体を振動させる」「自由に踊る」「目を閉じて静止する」「横たわって静止する」という4つのパートから成る。
 アルナーチャラが夕日に赤く染まる日没頃から音楽が始まった。レイブパーティーのメディテーション版みたいなものだが、酒も飲まずに素で踊るわけだから健全なのだ。荒野の向こうに広がる岩山に夕日が沈み、日が落ちると満月近い月が東側から上がってくる。野外で踊るシチュエーションとしては最高だ。元来ダンスが好きなジョシー先生もすっかりエンジョイしている。
 ちょっと思いがけない展開になってきたが、この流されてる感じが、旅ならではの楽しさよ。藍色に濃くなる空の闇を見上げて横たわりながら、幸せな気持ちになる。
 結局このアクティブ・メディテーションの集いにも、2日続けて通ってしまった。

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 終了後、みんなと体験をシェアしながらゆるゆる時間を過ごす。帰り際に、別の女性が「今度、私が泊まってるゲストハウスで5リズム瞑想(ダンスを使った動的瞑想法)をシェアするから、よかったら来てね。」と言われた。アシュラムの外で行われるこうしたWSはドネーションで行うのが基本らしいが、こうやってみんな小遣い稼ぎをしている訳か。
 長年ラマナ・アシュラムに通っている年配の旅行者、そして自分よりも年下のトラベラーたち、それぞれにティルバンナマライでのつきあい方や楽しみ方は違っているが、みなラマナ・マハルシを深く敬愛し、アルナーチャラのエネルギーに引きつけられていることは変わりない。

 ハレルヤババも大学時代に初めてティルバナンマライを訪れて、以来すっかり気に入ってしまい、しばらく毎年のように数ヶ月単位で滞在していたそうだ。
「それでも、アルナーチャラ山は来るたびに違う表情を見せてくれるんだよ。」
「僕は以前、ラマナ・マハルシが生きている頃からアシュラムに通っている、年取った帰依者たちにインタビューして回ったことがあるんだ。マハルシが生きていた頃と亡くなった今、アシュラムはどんな風に変わりましたか?って。そしたら驚くべきことにほとんどの人が、昔も今もあまり変わらないって答えたんだ。」

 満月近くの月は煌々と輝き、群青色の空にアルナーチャラの鋭い稜線をくっきりを浮かび上がらせていた。
 満月の夜には、アルナーチャラをぐるりと廻る巡礼のために、沢山の旅行者がティルバナンマライにやってくるという。確かにここ数日アシュラムを出入りする人が増えてきた。
「もう暑くなってきて、旅行者も大分減ってきたので、この満月が過ぎたら、私達も北へ移動しようと思ってるんです。もう、クラスにも人が集まらなくなってきたから。」とメガンナンダちゃんが言う。
 確かにティルバンアマライの気候は日に日に暑くなってきた。ケーララと違って乾燥しているから、日差しが痛いくらいに肌に刺さり、熱風で頭がクラクラするほどだ。
 
 そうかあ、ぼちぼち私達も帰り時なのかな。
# by umiyuri21 | 2014-06-21 23:35 | ヨガ滞在記

インディアン・ヨガライフ 第2ラウンド〜Vol.29

インディアン・ヨガライフ 第1ラウンドはこちらから
第2ラウンドのVol.1はこちらから

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「急がず騒がず...」

 ティルバンナマライの日々はケーララの生活とは大分勝手が違っていた。
 アシュラムに通ってただ坐っていると言っても、一方で毎日誰かしらと出会って、おしゃべりをしているのだから、賑やかで気楽な毎日だ。
 ジョシーの家に住み込んでの合宿生活と比べれば、ここではいつまで待っても来ないバスを待たなくていいし、掃除もいらない、食べ物に群がるアリにも悩まされなくていい、外国人など居ない村に住んで、淡々と日々を送るケーララの暮らしの方が静かといえば、うんと静かだ。
 今から考えれば、怒涛のヨガ合宿の、締めの修学旅行みたいな旅だったのかもしれない。
 
 気がつけば私のインド滞在の時間は、残すところ数週間になっていた。
 最初は1週間ほどで帰るつもりだったのに、何かと去りがたい事が起こって、ティルバンナマライでの滞在はズルズルと伸びていた。
 基本的には幸せで、満ち足りた日々であったが、困ったのは外食が続いているため、二人共お腹の調子が思わしくないこと。
 レストランの食事は悪くはないが、外国人向けのレストランは量がやたらと多くて、つい食べ過ぎてしまう。近くに地元向けの南インド料理店もあったが、タミル・ナードゥのミールスはケーララよりもゴージャスでメリハリが効いた味付けなのだが、その分スパイシーで、続くと胃に負担がかかった。
 特に、意外であったがジョシー先生の方が先にやられてしまった。

 アルナーチャラ山の中腹にはマハルシがティルバンナマライに住み着いて初期の頃に、16年間を過ごしたというビルパクシャ洞窟があった。そこから少し上に登った所には、その後訪問者が増えて建てたというスカンダ・アシュラムの建物が残っており。現在のアシュラムからそこへ至る山道は、一種の巡礼コースになっていた。
 本格的なアルナーチャラ巡礼は、満月の日に時計回りに山の周りをぐるっと一周する、ギリプラダクシャが習わしなのだが、さすがに足の悪いジョシー先生には無理なのであきらめるとしても、せめてこの洞窟までは行ってみたくて、ある日山道を歩き始めた。

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 40分ほどで着く、と言われていたが、急で足場の悪い階段が多くて師匠には少々きつかったらしい。ゆっくり歩いて1時間ちょっとで洞窟までたどり着いた。
 目が慣れるまで、しばらく何も見えないほど暗く、蒸し暑い空間であった。くぐもった暗闇の中に熱心に瞑想する人々が数人坐っている。
 子宮の奥に佇んでいるような濃密な空気であった。
 一方のスカンダ・アシュラムの方はもう少し開かれた場所であった。山の中腹からの眺めも良く、ここまで来るには少々時間がかかるゆえ、人も少なく、しんとして、親密な空気が漂っていた。

 どちらもまたパワフルな場所で、しばらく坐っていたかったが、ジョシー先生がやたらと帰りたがるので、名残惜しい気持ちで山を降りる。
 時はすでに3月半ばで、日差しはかなり強烈であった。町に戻るとのどが渇いてヘトヘトになっている。急いで、近所のツーリスト・カフェに入って、キャロットジュースを一気飲みした。よっぽど喉が乾いていたのか、ジョシー先生はそれを立て続けに2杯もがぶ飲みしていた。普段は冷たい飲み物にはかなり気を使っているのに、大丈夫かなあ、と思っていたら、やっぱりそれが悪かったらしい。

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 夕方サマディー・ホールに坐っていると急に「寒くない?」と言い出して、帰り際道路の端でおもむろにげろ〜っと吐き出した。わわ、先生大丈夫!?
 こういう時でも、師匠は絶対苦しい顔や具合の悪そうな顔はしないのだ。大体、毎朝大量のお湯を飲んで吐き出す、クンジャラ・クリヤーを日課にしているので、吐くこと自体にはなんの抵抗もないのだが...。それでも、困ったとかどうしようとか、表情が全然動かないので、こっちもなかなか彼の体調の変化に気づかず、つい無理をさせてしまう。やっぱり洞窟まで無理に連れて行ったのが悪かったのかなあ。かなり足に負担だったんだろう。ごめんなさい!
 それ以来、ずっとジョシー先生はお腹を壊したままだった。そのうち、私もだんだん、胃の重苦しさが抜けなくなっていて、食欲不振に陥ってしまった。
 ああ、お腹に優しい食べ物が食べたいなあ。プラデープの家で食べてた、おかゆが懐かしい...

ラマナ・アシュラムでは宿泊者には一日3回の食事が供される、そこの食事はあまりスパイシーではなく胃に優しいと聞いていたが、宿泊者でないと食べることが出来なかった。
 以前は宿泊者でなくとも、ドネーションを払えば食事をいただけたが、訪問者が増えたせいか、現在は許可されなくなっていた。
 アシュラムでは、以前レストランで一緒になったAさんと度々顔を合わせるようになっていた。色々と内部の事情に詳しい彼女によれば、人によってはあっさりと、食事の許可をもらったり、飛び込みでも部屋が空いていて、さくっと泊まれる人もまれにいるらしい。
 このアシュラムで働く人々は、ほぼ奉仕活動みたいなもので、訪問者がお金で何でも解決しようとしたり、感謝の気持ちに欠けた態度をとると、扉を固く閉ざしてしまうのだそうだ。大切なのは愛と感謝とマハルシに対する献身で、見ていないようで彼らは日々訪れる人をちゃんと見ているんですよ、とのことだった。

 で、どういう訳か、ジョシーさんとこのアシュラムの人たちは、相性が悪かった。きっと彼がヒッピー風の派手なプリントシャツなんかを着ていたせいかもしれない。ジョシー先生も自由人ゆえ、どちらかといえば組織というものが苦手らしく、腰の低い態度を取れないのだ。
 お腹の調子が悪いので、なんとか食事の許可が欲しいところであったが、入り口ですげなく追い返されたり、どうも具合が悪い。1回だけ、シュンニャさんのアドバイスで、上手く取り計らって、ようやく夕食を食べさせてもらった。

 サマーディー・ホールの奥の建物が食堂になっており、食事の時間が来ると、カランカランと鐘の音が鳴って、訪問者は順に食堂に入り、地べたに並んで坐る。壁には沢山のマハルシの写真や絵が飾られていた。葉っぱで編まれたお皿が、床に並べられ、そこにどんどんと、ご飯が盛られていく。家の食事に近い、あっさりして優しい味のアヴィヤル(野菜のココナッツ煮)、ラッサム、ミントのチャトニーとバナナ。う〜ん、こういう食事なら毎日食べられそうなんだけどなあ。

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  食堂では、Aさんと隣り合わせになった。世間話をしながら、彼女が日本で長く学んでいた瞑想の先生の話になり、興味をもった私はつい、色々と余計な事を尋ねてしまった。私も瞑想の勉強がしたいのですが、東京で良い先生はいないのでしょうか、とか何とか...
話した瞬間に、やばい!また先走ってしまったと後悔して、「すみません、私また先走りグセが出ました。いつも先生にも怒られるんですけど。」とフォローしてみたが、案の定Aさんがちょっと険しい口調で私に言う。
 「何事も、待って様子を見るという事が必要なんですよ。ゲットすることよりも、望む気持そのものを通して神と向き合う事が大切なんです。」
「そのような気持ちで、瞑想を捉えても上手くいきません。現代の社会では、お金や効率で何でも捉えがちだけど、それとは全く違った流れで動いている世界があるんです。そこを切り替えられないと...とにかく最初が肝心なんですよ。きっとあなたは勉強を始めたばかりで、接点にいるのでしょう。最初で間違ってしまうと、そういう先生に出会ってしまって、どんどん変な方向に行ってしまいますからね。」

「私の言うことを分かって聞いてくれたら、うれしいですけど...。今の先生はいいと思いますよ。あなたは何でも頭で先に考えてしまう人のようだから、彼のように言葉の少ない先生と出会ったんじゃないかしら。
 どうか、面倒くさいなあ、なんて思わないで。でも、最初は反発してもいいんですよ。神様は気長に待っていてくれますからね。」
 と、また深いことを言われてしまった。

 は〜...私ったら相変わらず学ばないよな。と少々落ち込んでホテルに戻る。扉を開けると、暗闇の中ゴソゴソと何か動く気配....。ネズミがおもむろに飛び出して、部屋から廊下へと駆け抜けて行った。びっくりして「ぎゃあ!」と叫ぶと、ジョシー先生に冷静さが足りないと、またもやお叱りを受ける。
 そういえば、昨夜、足の指先にちくりとした痛みを感じで、目を覚ますと、親指に小さい切り傷が出来ていたのだ。これは何の虫なのか?と気になっていたのだが、ネズミかあ!
 「ジョシーさん、私昨日の夜ネズミに噛まれたみたい。伝染病とか大丈夫なんでしょうか?」
 そわそわと心配していると、師匠はますます不機嫌になった。
 「心配するな!ネズミに食われて病気になったら、それは神様が望んだことだ。」
だってさ...全く、クソ食らえ!(笑)
# by umiyuri21 | 2014-06-17 21:24 | ヨガ滞在記


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